研究課題/領域番号 |
23K00570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
椙本 顕士 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90712274)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 動詞句省略 / 統語的同一性 / 非対格動詞 / 非能格動詞 / 様態動詞 / 軽動詞 / manner incorporation / 省略 / 動詞句 / 項構造 / 自他交替 |
研究開始時の研究の概要 |
省略現象の研究課題の一つは、先行詞と省略箇所に課せられる同一性条件の解明である。近年では、Merchant (2013)などにより、先行詞と削除箇所には意味的同一性に加え、統語的同一性も必要であるとし、省略できない場合には、両者の構造に異なる機能投射が関与するためであると説明される。しかし本調査から、機能投射の同一性を満たさないにもかかわらず、省略が容認される事例が存在することがわかった。このような事例を足掛かりにし、本研究では省略に統語的同一性条件が真に必要であるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
Merchant (2013)は、省略には統語的同一性条件が課せられると論じている。これを支持する証拠の1つとして、異なる項交替間(e.g. freeze, breakなどの自他交替)の動詞句省略が容認されないことを挙げ、それは軽動詞vの種類が異なり、統語的同一性条件に違反するためであると論じている。本年度は、この研究を足掛かりとして、新たに別の種類の軽動詞が関与する省略現象を調査した。具体的には様態動詞floatが示す非能格と非対格の交替(非対格性のミスマッチ)が動詞句省略の先行詞と削除部の間で許されるかどうかを検証した。次にその結果を統語的同一性に基づいて説明することは、従来仮定されてきた非対格構造では困難であることを示した。さらにこの問題を解決するために、非対格構造には、非能格構造をその一部に含むような構造が存在すると提案することによって説明できることを示した。この提案が正しい限りにおいて、Folli and Harley (2019)などで想定される、軽動詞vのフレイバーを利用した分裂VP構造が支持されること、またMerchantの統語的同一性条件が支持されることを示した。さらに本提案の帰結として、非対格構造には2種類あることを示した。第1に、語根とvdoからなる主要部が、vbecomeに様態編入する派生であり、第2に、語根がvbecomeに様態編入する派生である。第2の構造に対応する意味を持つ文が存在することを示し、またその場合には非対格と非能格の交替間では動詞句省略が許されないことを示すことでこの第2の構造の存在にも支持を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度は「統語的同一性の検証に最適な動詞(類)の選定」が目標であったが、概ね順調に進んでいる。研究が進みサンプルデータを検討するにつれて、調査対象が増えることもあるが、今のところ大きな問題点もなく着実に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度・来年度は研究の核になる期間であり、「統語的同一性の計算に関与する要素・関係の解明」をすることが目標である。撮り溜めたデータを分析し、積極的に研究発表を行いたいと考えている。
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