研究課題/領域番号 |
23K00579
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
熊谷 吉治 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20242745)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 音放出表現 / 音象徴 / 日英語比較 / 音節構造 / 語彙習得の過程 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日英語の音放出表現(「クスクス笑う」の「クスクス」や“giggle”など)の音声的特徴(高さ、音色など)とその表現を発する主体(人や動物など)の大きさや年齢・性別等との関連を分析し、当該表現が持つ音声的特徴が聞き手に喚起する特定のイメージを明らかにする。様々な資料から実例を収集・分析をして、日英語において音放出表現が果たす言語使用上の有用性を明らかにするとともに、これらの表現が母語においては話者はいつ頃から学ばれるのか、外国語学習ではそもそも習得すべき語彙として適性に位置づけられているかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
(1)漫画「ちはやふる」の英語訳版を分析して、登場人物がかるたを取り払う様子を表現する際に多用される、whack, wham, whang の音韻的・意味的特徴と物語内での分布様態を調査した。これらがどのような場面で、誰の動作に使われやすいかを分析するとともに、かるたを取る動作が漫画のコマの中で連続して現れた場合、どのような表現が使われやすいかにも注目して調査を行い、その成果を英語論文にまとめた。 Wham とwhack はそれぞれ別々の主人公の行為を表すのに使われる傾向が見られた。一方、whang は様々な登場人物の行為に使われた。これら三語に加え、他の表現もかるたを取る行為の描写に使用されていたが、隣り合ったコマや比較的近い位置にあるコマでかるたを取る行為が連続的に描かれている場面では、上述の三語は特定の主人公以外の登場人物の行為にも頻繁に使用されていた。 かるたを取り払う行為を表す英語表現は、原作の日本語表現に必ずしも一対一には対応しておらず、語彙的に確立した一つの英語表現が、複数の異なる日本語表現に対応する傾向が見られた。 一方、日本語表現では語末に依存モーラを付加することによって変異形が生み出されたり、語頭の阻害音が有声音のものと無声音のものの両方が存在したりする事もあり、日英語間で語形成力に差があることもわかった。 (2)英語圏で人気のある乳幼児向けの英語絵本45冊を入手し、これらをスキャンし、分析や検索などが可能なエクセルファイルに変換することで、語やテキスト分析の準備が進行した。今後は、それぞれの作品に使われている単語の発音(特に音素配列、音節数、強勢位置)や語源、難易度、テキストに使われている構文の難易度、文内における代名詞や名詞句表現の出現場所や頻度等といった情報を入力し、これらを互いに関連付けていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の(1)について、当初の目的・予定通り実証的な分析を行い、その成果を英語論文にまとめる事が出来たため。 研究実績の(2)についても、まとまった量(書籍45冊分)の新規データを入手し、電子化の作業を確実に行い、学生アルバイトによる作業の援助を受けながら、多角的分析を行うためのデータベース構築作業が着々と進められたため。
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今後の研究の推進方策 |
乳幼児向け英語絵本のテキスト分析をさらに進める。具体的には、電子化を行った当該書籍について、それぞれの作品内で使われている単語の発音(特に音素配列、音節数、強勢位置)や語源、難易度、テキストに使われている構文の難易度、文内における代名詞や名詞句表現の出現場所や頻度等といった多角的な言語学的情報を入力し、これらを互いに関連付けていく。これらの分析を通して、英語圏のネイティブスピーカーが幼少期に触れる機会が多い英語データの持つ文法的、音韻的、文体的特徴を明らかにするよう、分析を進めていく。
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