研究開始時の研究の概要 |
意識主体照応性の文法における位置づけについては、伝統的には、談話の問題として文文法とは異なる仕組みを持つと考えるアプローチ(Kuno 1987, Reinhart and Reuland 1993など)が大勢であったが、本質的に文文法の仕組みが関わっていると仮定するアプローチ(Nishigauchi 2014, Charnavel 2019など)が提案されている。両者の立場を比較検討することは、意識主体照応性のみならず、文法理論全般に関わる重要な課題である。本研究の目的は、日本語に見られる様々な照応形の文法・談話上の特性を調査し、照応における束縛という概念の適用範囲を明らかにすることである。
|