研究課題/領域番号 |
23K00595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
小倉 美恵子 鶴見大学, 名誉教授 (60074291)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 言語変化 / 言語進化 / 複雑適応体系 / 多義語 / 史的データ / 範疇知覚 / 脳の機能 / 範疇的知覚 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで語彙拡散による英語史上の音韻、形態、統語、意味、語彙変化の研究を、複雑適応体系に内在する基本原理(淘汰、自己組織化、相転移、曖昧性と頑強性、ネットワーク)の観点から統合してきた。本研究では英語の多義語の歴史的発達を、Historical Thesaurus of Oxford English Dictionary, Early English Books Onlineから収集した膨大なデータに基づいて、光トポグラフィーを用いた脳の機能実験により明らかにする。更に全研究の根幹を成す語彙拡散理論とNeogrammarianの規則性を統合した言語変化のメカニズムを脳の仕組みから探る。
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研究実績の概要 |
これまで語彙拡散による英語史上の音韻、形態、統語、意味、語彙変化の研究を、複雑適応体系に内在する基本原理(淘汰、自己組織化、相転移、曖昧性と頑強性、ネットワーク)の観点から統合した。本研究では、(1)英語の多義語の歴史的発達を、Historical Thesaurus of Oxford English Dictionary, Early English Books Online, WordNetから収集した膨大なデータに基づいて、光トポグラフィーを用いた脳の機能実験により明らかにする。(2)全研究の根幹を成す語彙拡散理論とNeogrammarianの規則性を統合した言語変化のメカニズムを脳の仕組みから探る。 今年度は(1)同じ歴史的発達を遡ることのできる動詞と名詞の共起、及び歴史的発達が異なった語どうしの共起は脳の活性化とどのような関連性があるかを調べた。英米人と日本人による光トポグラフィーを用いた実験により、意味は中英語以降、左脳の前頭葉、側頭葉に概念の局所化、階層化が起こり、これは中英語以降のSVO語順の緊密な統語構造と関連している。他方、日本語、古英語では脳全体に活性化が起こり、頭頂部の感覚野、運動野に向かうにつれて活性化が大きくなる。これは日本語、古英語の談話構造と関連し、脳の中での意味概念の活性化の仕方が異なることを明らかにした。(2)EModE /u:/の短化について、PRAATを用いて範疇的知覚実験を英米人に行い、光トポグラフィーを用いてどのような脳の活性化が見られるかについての予備実験を行った。範疇化は物理的な長さが半分のところで行われるのではなく、物理的には長い音となるまで短音と知覚され、短音と知覚される範疇境界部分で脳の活性化が認められた。規則的な変化を主張する研究者の、変化は音声的に徐々に起こり、それに伴う認知境界も移動するとの見解は支持されない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画どうりに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)令和1-5年度に収集した、多義語の歴史的発達についてHistorical Thesaurus of Oxford English Dictionary (HTOED), Early English Books Online (EEBO), WordNetからの膨大なデータに基づいて、本研究ではEEBOで多義語動詞のそれぞれの意味と共起する名詞が、HTOEDでどの程度、同じような歴史を遡ることが出来るか数量化して、意味の概念化、階層化を明確にしたい。更に光トポグラフィーを用いた実験により得られた、左脳の前頭葉、側頭葉に認められる概念の局所化、階層化についての数値データと、EEBO, HTOEDで得られた結果との統合的関係を明確にする。(2)令和5年度に行った母音の短化についての合成音声を用いた予備的実験に基づきながら、本研究では更にPRAATを用いて、前舌母音/ay/から /iy/までの音声合成をして範疇知覚実験を英米人に行う。また同じ被験者に/ay/から /iy/までを含む単語をいくつか読んでもらいそれも録音して分析し、範疇知覚実験の結果と比べてみたい。更には、範疇知覚実験中およびいくつかの単語の朗読中にどのような脳内での活性化が見られるかを調べたい。
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