研究課題/領域番号 |
23K00611
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
小林 明子 島根県立大学, 国際関係学部, 准教授 (40548195)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 日本語学習者 / 動機づけ / 複言語話者 / Systematic Review / 文献レビュー / システマティックレビュー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、システマティック・レビューと呼ばれる文献研究の手法を用いて日本語学習者を対象とした動機づけ研究の成果を系統的に統合することである。従来、第二言語における動機づけ研究は、英語学習者に対する調査を基に理論構築が行われてきた。しかし、英語に関する調査のみを基に提案された理論は英語以外の言語を説明する上で十分ではない可能性がある。また日本語学習者には日本語と英語両方を学ぶ者も多い。そのため本研究では複言語話者としての日本語学習者を含めて分析し、既存の理論が適合しない例や課題を検討する。さらに動機づけを高めることを意図した実践を整理・公開することにより、データに基づく教育実践を支援する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、システマティック・レビュー(Systematic Review)と呼ばれる文献研究の手法を用いて、日本語学習者を対象とした動機づけ研究の成果を網羅的かつ系統的に統合することである。研究初年度となる2023年度は、調査者がこれまで収集した資料に最新の文献を加え、1990年代から現在まで約30年間に発表された日本語学習者を対象とした動機づけ研究について、英語・日本語論文を収集した。なお本研究では複言語話者としての日本語学習者に着目し、検討対象に含めているため、日本語、英語等を含む複言語に対する動機づけを同時に調査した研究も収集対象とした。収集した文献の一覧を作成した上で、大きく(1)日本語学習に対する動機づけの構造や特徴に関する研究、(2)日本語学習者の動機づけに対する教育的介入を行った研究に分類した。さらに理論、対象者、調査手法、結果等の観点から整理して文献データベースの作成を進めた。分析対象となる文献は膨大であるため、文献収集及びデータベースへの入力は今後も継続的に実施する予定である。 また、第二言語教育分野の動機づけ研究において新たな概念として着目される「エンゲージメント(engagement)」のレビュー論文を執筆し、『第二言語としての日本語の習得研究』に掲載された。エンゲージメントは学習に対する積極的な関与や取り組みを表す概念であり、今後、日本語教育分野での実証的研究を進めるうえでの課題や教育的示唆について考察した。分析・考察結果は、日本語教育分野における動機づけ研究全体を分析する際の理論的枠組みの検討に役立てる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、2023年度は日本語学習者の動機づけに関する過去30年の資料を収集したうえで整理を進め、文献データベースの作成に一定の目途を立てる予定であった。しかし、当初の想定以上に資料が膨大であることや分析枠組みの再検討に時間を要していることから研究全体の進行に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き文献の収集・整理を続け、文献データベースを拡充する。さらに質的な文献統合を行い、分析結果に関して第二言語教育分野の既存の理論・調査結果と比較・照合を行う。また文献統合を適切に進めることができているかについて確認作業を行う。システマティック・レビュー(SR:Systematic Review)の国際的ガイドラインであるPRISMA声明(Preferred reporting items for systematic reviews and meta-analysis)及び応用言語学分野のSRの研究を参照しながら、分析、研究統合の手順の妥当性、留意点を確認する。分析手順に課題が見られる場合は、再度分析を行う。
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