研究課題/領域番号 |
23K00613
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
中村 かおり 拓殖大学, 外国語学部, 教授 (70774090)
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研究分担者 |
高橋 志野 愛媛大学, 国際連携推進機構, 教授 (30363261)
向井 留実子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (90309716)
佐々木 整 拓殖大学, 工学部, 教授 (80276675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Kコード / 文字学習支援 / カタカナ検索ツール / ウェブサイト / 紹介動画 / 指導デザイン / 生活者 / 字体識別力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「生活者」の学習環境に即した文字学習支援として、「Kコード」を用いた字体識別法を取り入れ、「短時間」で「シンプル」かつ「印象深く」学べる、新たな文字学習方法の提案を行おうとするものである。そのため、まずは非漢字系「生活者」向けの学習法のパイロット版を作成する。それをもとに実践を行い、実践データの分析および支援者と学習者からのフィードバックから改善を行う。この過程を繰り返し、「生活者」向けの文字学習方法を開発し、教材の多言語化を進める。これにより、文字習得できない 事例も多い「生活者」の現状を改善することが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は、生活者を含む非漢字系日本語学習者の文字学習支援を目指しています。今年度は予定通り、学習支援ツールであるKコードの導入用動画の日本語版と英語版を作成し、ダウンロードして使用できる教材を作成しました。さらに、これらの資料を広く利用できるように、ウェブサイト(k-code.net)を構築し、Kコードの説明や動画、教材、研究発表資料、FAQなどを整備しました。同時に、生活者および留学生に対して文字指導を行いながら、指導デザインの検討を行いました。その際に、学習者が母語で言いたい言葉のカタカナ表記に関する支援が不足している問題がわかったため、それに対処するため、急遽、Kコードが提示できるカタカナ検索ツールの開発にも取り組みました。 その後、Kコードやカタカナ検索ツールを紹介し、フィードバックを得るための発表やワークショップを複数行いました。これらの発表の後、参加者にアンケート調査を行い、フィードバックを収集しました。今後は、これらの結果を分析し、具体的な指導デザインに反映させていく予定です。 【関連発表は以下】 「カタカナ・漢字学習を支援するK-codeを用いた実践報告」(中村かおり・伊藤江美:第26回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム, 2023年8月20日)、「拓大メソッドによる漢字学習 ― K-codeを用いた字体の説明と書字練習」(伊藤江美:第8回拓殖大学・ナレースワン大学共催日本語教育研修会, 2024年3月16日)、「文字(カタカナと漢字)をかっこよく書こう! ― K-codeを使って書いてみよう―」(中村かおり:ザグレブ大学日本語コース特別授業, 2024年3月26日)、「学習者の文字認識を高める指導-Kコードの説明と実践報告」(中村かおり:ベルギー日本語教師会第127回勉強会, 2024年3月29日)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
取り組んだ項目の順序が変わりましたが、全体的なバランスから見れば、おおよそ計画通りに進んでいます。1年目の計画では、教材の多言語化が予定されていましたが、日本語と英語に限定し、新しいツールの開発とウェブサイトの構築に焦点を当てました。具体的には、理論に基づく学習方法の検討と教材作成が1年目の目標でしたが、実際には動画や教材の制作後、すぐに多言語化するのではなく、実践を行って学習者と指導者からのフィードバックを受けた上で、修正を行ってから、多言語化をしたほうがよいと判断しました。そのため、現状で作成されている動画と教材は日本語版と英語版のみとなっています。教材の多言語化の代わりに、2年目に予定されていた実践と評価に関する調査を行うことにし、複数の発表やワークショップを通じて参加者の意見を集めました。 また、生活者向けの指導の中で、彼らの表したい言葉(人や国の食べ物の名前、地名など)のカタカナ表記ができないという課題があることに気付き、それに対応するために、母語で検索すればカタカナ表記とともにKコードが表示される検索ツールを開発しました。これにより、学習方法の検討の幅が広がると期待でき、これらは2年目以降に取り組む予定です。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、引き続き実践と評価を行いますが、本研究チームのメンバー以外が行っている実践も複数あります。そのため、それらについても調査を行い、その結果を分析することで学習方法をさらに検討していく予定です。 また、ここまでの調査の結果は、2024年8月1日に予定されているアメリカのウィスコンシン州マディソンで開催される日本語教育国際研究大会(ICJLE2024)で2件の口頭発表が予定されています。それぞれ、「K-code導入動画を用いたカタカナ・漢字指導の実践報告」「日本語学習者の母語語彙に基づくカタカナ語書字支援ツールの開発」というタイトルで行います。 その他にも、生活者や留学生への文字支援に加え、日本語支援研修のチューター研修でもKコードを活用した文字支援の調査を行います。これらの結果をもとに、より洗練された文字指導のデザインを提案していく予定です。
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