研究課題/領域番号 |
23K00618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
酒井 恵美子 中京大学, 教養教育研究院, 教授 (00217754)
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研究分担者 |
中田 敏夫 愛知教育大学, 教育学部, 名誉教授 (60145646)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 植民地 / 日本語教育 / 国語教育 / 山口喜一郎 / 台湾 / 朝鮮 / 満州 / 日本語教育史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は山口喜一郎が編纂した教科書内容とその背景にある日本の伝統的な文化精神の必要性を志向する原理との間に存在する矛盾をどのように把握していたかを山口の言説を通して明らかにする。山口が台湾で模索した直接法は当然のことながら、学習者の社会文化に寄り添わなければ達成しないものであった。例えば同じ儒教の影響下のあっても台湾では死にゆく夫に従い命を絶つことが婦徳として称賛されるが、日本人としては幼子を顧みず命を絶つことは許されない。このような文化的相克に自覚的であったのかどうか、台湾、朝鮮、満州における彼の日本語教育者としての精神のあり方を明らかにする。
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研究実績の概要 |
山口喜一郎は植民地であった台湾、朝鮮および満州の3地域において日本語教育を行った。最初の年である2023年度は赴任地ごとに3期に分け、史資料の収集と分析を行うこととした。山口は日記など個人の記録は残していない。公刊されたものも日本語教育、特に教授法や教材に関するものがほとんどで彼の教育思想でさえ詳らかにしていない。そこで彼の周辺の関係者の残したものや当時の教育界の状況から山口の実像に迫ることとした。 まず、台湾については山口本人の関与したものの収集はほぼ終わっているが、さらに漏れなく収集することと新しい資料として在任当時の台湾の教育関係資料、特にまだ収集が終わっていない各地の公学校に残されたものの収集に着手し、いくつかの成果を得ることができた。朝鮮については赴任のきっかけを明らかにすること、時期的に芦田恵之助や高田邦彦などの新教育と言われた時代に活躍した人々と同時代を過ごすことになるので彼らとの関係を明らかにすることを目標とすることにした。この時代は各地の師範学校ごとに学閥と呼べるようなを形成していたと考えられ朝鮮は広島師範学校出身者が多い。台湾でこそ国語学校出身者も多いが、朝鮮ではほとんどいない。どのような過ごし方をしたのか、そのような視点からも資料を収集することにした。 最後に満州時代の史資料については北京および東北地方の大学に散見される。2024年度に調査に出られるように大学関係者などに現状を聞き、計画を立てた。 本年度は史資料の収集と収集の計画に多くを割かれ、分析面での計画がやや遅れ気味になった。ただし、山口のような手紙や日記を残していない研究者の足跡をたどるにはこの部分をおろそかにすることはできない。次年度以降集中して取り組みたい。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ分析ではやや遅れているが、史資料収集は予定したものについてはほぼ予定通りである。しかし、台湾においては予想を超える資料が発見されてこの資料を収集するのかどうかの判断が必要である。また、2024年度に調査をする予定であった中国へ諸般の事情を考えると本当に調査に出ていいのか、やや判断に迷うところである。台湾では今まであまり利用されることがなかった公学校関係の資料を手に入れることができたこともあり、状況によっては計画を変更し台湾時代と朝鮮時代を中心とすることも考えている。
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今後の研究の推進方策 |
台湾時代の調査は、できうる限り各地の公学校関係の資料も収集する。そのため、2024年度に2回の調査を実施する。また、朝鮮時代の資料については新教育時代の史利用も含め、2024年度中にめどをつける。可能であれば、残存する朝鮮総督府文書の詳細な調査の実施を検討する。山口への招聘状などが残っていれば、確実な足跡をたどることができる。いままでのところ閲覧できていない。 中国への調査は2024年度夏までに状況を見定め、計画を立てることとする。北京大学をはじめとする中国側の受け入れには好感が持てるが、慎重さも必要である。 全体の進捗状況を見て2024年度の夏の調査終了後に本格的に分析を開始する。場合によっては研究計画の変更を検討する。
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