研究課題/領域番号 |
23K00620
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
牲川 波都季 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (30339733)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 日本語教師 / 相関分析 / 大学 / 雇用 / 留学生30万人計画 / 日本語教育の推進に関する法律 / 登録日本語教員 / 日本語教育実態調査 / 労働経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,従来の日本語教育のメイン・フィールドを,大学等高等教育機関,日本語学校,地域日本語教室の三つに大別し,文化庁による日本語教育実態調査を用いて,それぞれの日本語教師の需給実態と要因を分析する。その際,日本語教育を「産業」ととらえ,労働経済学,国際労働者移動の経済学の知見を導入する。日本語教師が自らの教育理念を発揮するための,労働・教育環境の安定化に寄与する実証的データを提供したい。
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研究実績の概要 |
今年度は,本研究がメイン・フィールドとする,大学等高等教育機関,日本語学校,地域日本語教室の三つのうち,大学等高等教育機関を対象として,日本語学習者数と日本語教師数との関係を分析した。 具体的には,文化庁が1967年から継続的に行ってきた『国内の日本語教育機関実態調査』の結果を二次分析用に整理しなおし,留学生受入れ10万人計画期(1983~2003)と,30万人計画期(2008~19)の2期について,学習者数と教師数の相関を,設置主体・職位別に分析した。 その結果,30万人計画期には両者の間にほぼ相関がなく,例外として,私立大学の学習者と専任教師との間に正の相関が,国立大学の学習者と専任教師との間に負の相関があることがわかった。また,学習者が増加しても専任教師が減少するという,特異な相関がみられた国立大学について,その要因を大学等教育機関をめぐる政策史から検討した。2004年の法人化の時期直前に,国立大学では省令施設としての留学生センターの新設が相次いだ。しかし法人化後は,センター運営に特化した予算措置がなくなり,その後,団塊世代が退職時期が続いた。予算措置がなくなる中,団塊世代の退職後の専任教師ポストに,新たな専任教師が補充されなかった可能性がある。 留学生30万人計画が実施され日本語学習者が増加したが,それに見合うだけの教師の増加はなかった。この結果は,日本語学習者の増加傾向を根拠として,日本語教師の新規養成を進めようとしている現在の日本語教育政策に対し,人件費の予算措置といった雇用基盤の確保・計画を求める上での根拠となりうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は,本研究がメイン・フィールドとする,大学等高等教育機関,日本語学校,地域日本語教室の三つのうち,大学等高等教育機関を対象として,日本語学習者数と日本語教師数との関係を分析した。その分析結果を,2023年9月1日に,「なぜ留学生30万人計画は日本語教師の需要を高めなかったのか─大学等機関における要因分析」として,豪州日本研究学会研究大会/国際繋生語大会:JSAA-ICJLE2023(ニューサウスウェールズ大学)にて発表した。この研究成果の公表時期は,当初の予定通り2023年度前半に行うことができたが,その後,文化庁の調査結果の概要記載箇所では判明しなかった,設置主体別・職位別の教師数が,各大学機関の紹介箇所に記載されていることに気が付き,2次分析のためのデータを再整理した。デジタルデータがない期間もあることから,再整理作業はすべて手計算で行わねばならず,また再分析も行ったことから,論文としての公表が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在,大学等機関における日本語学習者数と教師数との相関関係と要因に関する論文を執筆中である。2024年度前半中には,査読付きの学術雑誌に投稿し,それが終わり次第,二つ目のフィールドである日本語学校の調査・分析に進みたい。文化庁調査のデータ整理・分析に関しては,大学等機関で行った経験が活かせるため,よりスムーズに終えられると考えている。日本語学校の調査・分析結果の公表は2025年度前半を予定しているが,同時に3つ目のフィールドである地域日本語教室の調査・分析も始める。これにより,2025年度後半までに,3フィールドすべての学習者と教師の需給関係について,研究結果を公表することをめざしたい。
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