研究課題/領域番号 |
23K00624
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
内海 由美子 山形大学, 学士課程基盤教育院, 教授 (20292708)
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研究分担者 |
嶋 ちはる 国際教養大学, 専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科, 准教授 (00707630)
仁科 浩美 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10431644)
松岡 洋子 岩手大学, 国際教育センター, 教授 (60344628)
今泉 智子 山形大学, 学士課程基盤教育院, 准教授 (80871277)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 地域日本語教育 / 外国人散在地域 / 日本語教育専門人材 / 人材養成 / 地域間連携 / 人材活用 |
研究開始時の研究の概要 |
外国人散在地域では、日本語教育を行う専門人材が少なく、人材を養成する専門家や機関も、養成された人材が活躍できる日本語教育の機会もきわめて限定的である。一方で、技能実習生をはじめとする外国人労働者の増加は外国人散在地域でも顕著である。 本研究では、外国人散在地域に必要な「地域日本語教育専門人材」の資質を明らかにして養成・研修のカリキュラムを開発する。また、専門人材のネットワーキング、情報交流や人材活用の事例収集を行い、人材の育成(養成・研修)・活用・スキルアップ促進の循環が可能な、地域間連携による日本語教育体制の在り方を検討する。
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研究実績の概要 |
地域日本語教育専門人材の養成を目指した講座は2022年度から実施している。本研究課題においては、まず2022年度の講座の分析を①オンライン講座での学び、②教育実習の成果と課題について行った。①では、「オンラインでの模擬授業」「複数の教科書の分析」「動画による学習者へのインタビュー分析」が高く評価されていた。それらが「地域日本語教育における授業の在り方や学習者を意識した指導」という点で自身の学びや成長につながったとされている。②では、受講者・講師双方に学びや気づきが認められたが、専門人材養成という視点で考えると、教育現場の実践力の養成という点では課題があることがわかった。 並行して講座のカリキュラムの見直しを行い、2023年度も、講座と実習を合わせて約92単位時間の研修を実施した(受講生32名でスタートし要件を満たした25名が修了した)。申込時、オンライン講座終了時、対面実習終了時、全課程終了時にオンラインでアンケートを行い、受講生の学び、意識の変化などについて分析を行った。 さらに、2022年度と2023年度の修了者全員を対象に「外国人との交流に関するアンケート」を行い、講座終了後の活動について調べた。このうち6人(岩手・秋田・山形各2人)を抽出してオンラインでインタビューを実施し、日本語教育や異文化に対する意識の変化、活動の広がりについて調査した。 人材のつながりと活用については、講座修了者・講師のネットワークが構築され機能している。そのネットワークを利用して、有償・無償の人材活用が実現していることが確認された。 他に、外国人被用者を多数抱える山形県の食品加工会社に赴き、担当者、コーディネータに聞き取り調査を行った。その結果、労働者の日本語学習に対する意欲は一定程度認められるものの、シフト制等の労働環境等に起因して、継続した学習に結び付きにくい実態が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域日本語教育専門人材の研修実施とアンケート調査、インタビュー調査の実施は計画通りである。専門人材養成・研修のカリキュラムについて評価検討を継続している。他地域・他団体の事例収集は未着手であるが、外国人住民を取り巻く日本人住民に対する聞き取り調査については、企業1社に対して調査を行った。人材ネットワークは構築できており、研修や有償・無償の日本語教育に関する情報交換が行われている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、①専門人材養成の実施と評価、②事業所等への聞き取り調査、③専門人材ネットワークによる情報交換の観察とネットワークの機能の分析を継続する。2回の研修実施で見えてきた課題としては、当初の目的である「初任研修」(文化審議会国語分科会)に該当する人材が極めて少ないことである。外国人散在地域は日本語教育資源も少ないことから「初任」以前の「養成」段階から人材を育成する必要性がある。また、そもそも外国人住民と日本人住民との交流の機会が少ないことから、質の保証された日本語教育を行える人材だけでなく、外国人との交流の機会を創出して交流を促す人材も必要であることもわかった。つまり多様な人材が必要であるということだが、多様な人材とはどのような人材なのか、それをどう育成していくのかということを考えていく必要がある。 また、岩手・秋田・山形は東北地方であり外国人散在地域であり、共通した地域事情を抱えてはいるが、日本語教育の実態には違いがある。今年度は、相互に3県を訪問して現状を詳細に見ることで、それぞれの地域に必要とされる人材の資質の詳細を明らかにしていきたい。
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