研究課題/領域番号 |
23K00646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
楊 彩虹 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 特任教授 (00725509)
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研究分担者 |
島村 典子 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30724273)
苗 チェン (苗チェン) 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (50644449)
程 遠巍 立命館大学, 経済学部, 授業担当講師 (50725356)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 教材開発 / 誤用分析 / 作文教育 / フィールドワーク / 高大連携 / COIL / 学習目標 / 作文添削 / 作文 / 教授法 / 協働学習 / 評価 / テクスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本語母語話者を対象に、文章表現力を育成し「主体的に書く」ための複合的な中国語作文教育モデルを構築することを目的とする。1)プロセスライティングなどの教授法、四技能を連携した「総合活動型」の教室活動、学内外とオンラインでの協同学習を実践し、学習者の目標設定、モチベーション、主体性および文章表現力の向上に与える影響を検証する。2)作文の添削、ルーブリック評価について、語彙や文法の正確さに留まらず、内容、構成、コンテクストなどにも注目して、学習者をサポートするための方法を考案し検証する。3)「文を作る」授業を脱却し、「文章を書く」授業への転換を実現するための作文教材を開発する。
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研究実績の概要 |
研究代表者の楊彩虹は教材開発、作文授業、学習者の談話(コンテキスト)レベルの誤用について研究し、計4回学会発表を行った。教材開発に関する研究は、日本で出版された作文教材を概観し、代表者と共著者が行った作文教材の開発を紹介した。作文授業については、2021年度に対面とオンラインで実施した中国語の初級作文授業の実践報告を行い、それぞれの授業形態において実施したアンケート調査結果と学習者が提出した作文を比較し、学習者の意識と授業の効果について考察した。談話の誤用については、初級学習者が産出した作文に見られる照応、代用、省略、接続詞の誤用例の分析を通して、誤用の原因を分析した。また、年度末の2024年3月16日(土)には北京大学対外漢語教育学院の銭旭菁教授をお招きして、「中国語の作文教育と研究」についてオンラインで講演会を開催した。国内外から113名の参加があった。 研究分担者苗チェンは日本人学習者100名を対象にアンケート調査を実施し、650本の作文データを収集した。アンケート調査の結果とデータの分析をまとめ、研究協力者の巻下と共に日本中国語学会第73回全国大会にて「マーカー無しの『就』構文について―アンケート調査と作文の誤用例を中心に―」のテーマでポスター発表を行った。 研究分担者の島村は中国語と日本語の作文教育を含む実践教育として、フィールドワークを通した高大連携型外国語教育および海外の大学と連携しオンラインで行ったCOIL型外国語教育について、教育効果を分析し、論文と報告書を執筆した。 研究分担者の程遠巍は、日本語母語話者を対象とした作文教材やHSK作文コーパスのデータおよび先行研究を考察し、従来の学習目標の設定の問題点を検討した。 研究協力者の小池(河村)は、日本語の副詞「実は」の誤用分析、日中の教師の作文添削に関するインタビュー調査について、国際シンポジウムにて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の楊彩虹は2023年度予定していた作文データの収集と学習者のアンケート調査を順調に行い、研究を推進し研究成果の発表を行った。これまで収集したデータを分析し、オンラインと対面における作文授業の実践報告を行った。また、学習者の作文に見られる談話の誤用分析を行った。これまで出版された作文の教材を分析し、2021年に代表者と共著者が作成した作文教材を紹介した。 研究分担者苗チェンは2023年度に実施する予定の研究、発表について一定程度結果を出している。例えば、中・上級作文の授業において、プロセスライティングの教授法を実践し、教材開発のための準備を整えた。また、学習者へのアンケート調査の結果と作文データを分析し、中国語の表現使用の傾向や誤用をまとめ、学会発表を行った。 研究分担者島村は当初の予定通り、中国語と日本語の作文教育を含む実践教育について、アンケート結果や得られた示唆を論文にまとめることができた。 研究分担者の程遠巍は、中国から研究資料を取り寄せるのに、コロナ禍以降の物流事情により予想以上に時間を要したためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の楊彩虹は2024年度に以下の3つの口頭発表を予定している。①学習者が作文を書く際、オンライン辞書、機械翻訳と生成AIの使用状況と意識を調査した上で、これらのツールの使用に関するルールを検討する。②初級学習者の作文における“了1”の誤用を検討し一貫した解釈を試みる。さらに誤用の原因も探る。③2023年度作文クラスと会話クラスで行った日中大学生オンライン交流活動を報告し、「外国語学習のめやす」に基づき、交流活動を分析する。さらに、過去の交流活動との比較を通して、改善点や問題点について検討する。これらの発表のほかに、日本の大学における作文授業の実態について調査し、研究分担者の島村と共に教員の意識調査を行う。2025年度は分担者と共に教材開発をし、2026年度は作文の評価とフィードバックを研究する。 研究分担者苗チェンは2024年度以降、さらに教授法、教室・学外活動のデザインと実践を行い、改善を踏まえて実践報告や教授資料集にまとめる。また、新たな作文評価法を利用して学習者の書く能力の向上を明確化する。最終的には学会発表や論文投稿、教材の出版などを通して、研究結果を公開していく。 研究分担者島村はタンデム学習を発展させ、中国語を学ぶ学生に資する作文教育の実践を勤務校にて実施する予定であり、教える側と学ぶ側に生じた変容について分析を行う。その過程で生じた誤用例についても考察を加える。 研究分担者の程遠巍は、2024年度にはCEFRをはじめ、『国際漢語能力標準』や『国際中文教育中文水平等級標準』などの言語学習のガイドラインの到達目標を比較対照し、批判的に検討を行い、その結果を学会で報告する。2025年度、2026年度には、日本語母語話者を対象とする初級、中級、上級作文の学習目標を設定する作業を進め、その成果について学会発表・論文投稿などを行う。
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