研究課題/領域番号 |
23K00652
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 敦 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (00622482)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 言語政策 / 言語教育政策 / 多言語社会 / 移民 / ルクセンブルク / 格差 |
研究開始時の研究の概要 |
ルクセンブルクでは長年、ドイツ語による識字、そのうえでのフランス語教育という言語教育が行われてきた。しかし、ドイツ語を基盤とするこの教育制度は人口の約半数を占める移民との社会経済的格差の拡大や社会統合を阻害する要因の一つとして指摘されてきたこともあり、近年は学校の自由化や柔軟な言語教育の導入が進んでいる。本研究では、初等・中等教育における言語教育を媒介として、①政策決定者、②現場の教員、③移民支援団体のそれぞれが多言語社会に生きる人々の社会統合を促すためにどのように工夫しようとしているのかについて、各々のアクターの意識や実践の差異について考察しながら明らかにしようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究課題を開始するにあたり、2017年に教育省により発表され、2018年に法制化された「ルクセンブルク語振興戦略」(以下「振興戦略」と記す)について、2022年度に発表した論文に続いて継続的な調査研究を行った。2013年から2023年まで続いた、民主党(DP)を中心とする連立政権はそれまでのキリスト教社会党(CSV)を中心とする保守政権とは異なり(新)自由主義的な価値観を持ち、言語政策についても学校の自由化を推進してきた。人口の半数以上が移民背景を持つにもかかわらず、ルクセンブルク語を母語とすることを前提にドイツ語で識字を行い、その上でフランス語を習得させるというこれまでの言語教育のモデルに必ずしもこだわらず、流動化させる姿勢を見せた。それにもかかわらず「振興戦略」のような揺り戻しとも見られる政策が発表されたが、実際の運用はどのようになっているのか、文献での調査をした上で実際に調査を開始した。具体的には、「振興戦略」によって設立された「ルクセンブルク語センター」でのインタビュー調査を行った。ルクセンブルク語センターは既存のルクセンブルク語オンライン辞典委員会がスライドする形で作られたものであり、これまで通りオンライン辞典の拡充に携わりながら、振興戦略で示されたルクセンブルク語に関する問い合わせへの対応、ルクセンブルク語を広めるためのイベントを開催していることがわかった。一方で一言語主義に陥るようなことはなく、あくまで多言語主義を貫く従来の姿勢についても明らかになった。 また、2022年秋からプロジェクトベースでフランス語による識字教育が開始された。これはこれまでのルクセンブルクの言語教育政策の根幹に関わるものであり、どのような政治的言説のもとに作られていったのか等について調査を行った。 これらについては2024年度中に研究成果として発表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度中に研究成果発表ができなかったため。2024年度中に順次成果発表を行う。
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今後の研究の推進方策 |
識字教育政策については引き続き文献やインタビューによる調査を行う。また2024年は現場の教員や教育省での調査も行う予定である。
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