研究課題/領域番号 |
23K00663
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
石田 卓生 愛知大学, 東亜同文書院大学記念センター, 研究員 (50727873)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 東亜同文書院 / 東亜同文会 / 華語萃編 / 華語月刊 / 中国語教育 / 中日大辞典 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦前日本の有力な中国語教育機関であった上海の東亜同文書院大学の中国語教育がどのように成果を上げていたのかを明らかにする。本研究では、東亜同文書院大学の中国語教育のシステムを、内容、方法、教員・学生の教学実態、教員の中国語研究の側面から分析することによって総合的に把握する。そのために東亜同文書院大学中国語教育関係資料に関するデータベースを作成する。さらに、戦後に東亜同文書院大学の元中国語教員が行った中国語研究・教育活動から、東亜同文書院大学の中国語教育の現代的意義を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、戦前の日本における有力な中国語教育機関とされている東亜同文書院の中国語教育について、その中国語教材や教員および関係者による研究を調査、分析することによって、どのように成果をあげていたのかを明らかにしようとするものである。本年度は、東亜同文書院の日中両国教員が同院での中国語授業のために独自に編纂した中国語教科書『華語萃編』初集を中心に調査、分析を進め、その成果を「中国語教科書『華語萃編』初集にみる上海における日中交流と暮らし」(第391回三河民俗談話会、2023年12月23日)において報告した。これは『華語萃編』初集の内容から、東亜同文書院の中国語教育の特徴を明らかにしようとするものである。『華語萃編』初集の内容には、東亜同文書院での学生生活に関するものと、中国での暮らしを想定するものがあった。東亜同文書院の学生生活については、教室での教師とのやり取りや学生同士の話し合いといったキャンパスでの生活を反映させるもの、中国人に東亜同文書院がどのような学校であるのかを詳しく説明するもの、さらに実際の地名や建造物、店舗も登場させつつ上海の都心を遊覧するものまであり、東亜同文書院生にとって親しみを感じさせるものとなっていた。中国での暮らしを想定する内容については、衣食住に関する基本的なことだけではなく、中国人とどのように交際していくのかについて、旅行中のやり取り、正月などのあいさつ回り、借金の依頼への対応などきわめて具体的な情況設定のものがあり、さらに中国人の親戚付き合いの様子や地域によることばや生活慣習の違いなど中国社会への理解を深めさせるものも用意されていた。こうしたことから、『華語萃編』初集は東亜同文書院が卒業後に中国社会へ入って中国人と共生していくことを想定したものであり、さらにそれが同院の中国語教育の目指した方向であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東亜同文書院の中国語教育で使用され続けており、その根幹ともいえる中国語教科書『華語萃編』初集の内容について分析して特徴を明らかにし、それを「中国語教科書『華語萃編』初集にみる上海における日中交流と暮らし」(第391回三河民俗談話会、2023年12月23日)において発表するという具体的な成果をあげることができた。 このように本研究は調査と研究、その公表について着実な活動を進めることができており、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
現在、「中国語教科書『華語萃編』初集にみる上海における日中交流と暮らし」(第391回三河民俗談話会、2023年12月23日)に発表した内容を論文としてまとめ、2025年度刊行が計画されている論文集への掲載を予定している。 本研究で行う関連資料のデータベース構築へ向けた資料の収集と整理については、東亜同文書院第2期生の在院時代のノートをはじめとする新たな資料の整理、分析も同時に行いつつ作業を進めている。 また、東亜同文書院の後身校である愛知大学で、元東亜同文書院教員について中国語を学習した同大卒業への聞き取り調査を予定しており、2024年度での発表を計画している。
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