研究開始時の研究の概要 |
聴覚性プライミング効果(暗示的学習)を用いて, どのような条件で学習すれば, どのような適性を持った成人英語学習者が発音学習の効果を得られるか明らかにする. 主な検討事項は, 学習効果は分節音と比べて卓越性のあるプロソディーにより生じやすいか. モデル音声に先行してリズム音を聞き繰り返すことでリズム以外の発音にも学習が及ぶのか. 記憶を促進するメロディー音は学習にどう影響するか. 習得につながる長期効果を得られるのか. 言語使用場面で必要な正確かつ素早く発音する能力を学習できるのか. 個人差が学習効果にどのように影響するのかである. 成果をもとに成人英語学習者用の発音学習教材の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究者らは,日本語を母語とする成人の英語学習者がプロソディー(ストレス, リズムなど)の発音を習得する効果的な方法として, 聴覚性プライミング効果(暗示的学習)の原理を利用した発音学習を検討している. 近い将来, 成人英語学習者を対象とした発音トレーニング教材の開発を目指し, 学習者がどのような条件で学習すれば聴覚性プライミング効果を最も得られるかについて(1) 発音項目, (2) 教材の提示方法, (3) 学習効果の特徴, (4) 個人差の観点から検討することを計画している.
2023年度及び2024年度(1・2年目)では, 上記(2)教材の提示方法に関する要因に焦点を当て, 音声文の即時復唱の前にリズムやメロディーをプライミングとして提示することがいかに発音学習に影響を与えるかを検証する計画である. 本年度は先行研究のレビューと実験計画を進めたが実験実施には至らなかった. しかし, 実験方法を明確化させ, 2024年度に実施する準備を整えた. 具体的には, 実験はプレテスト(英文の即時復唱), プライミング学習(リズムやメロディー+英文の即時復唱), ポストテスト(英文の即時復唱)で構成される. プライミングとして ①リズム(メロディー排除), ②メロディー(リズムの影響を最小化), ③リズム+メロディーの3つの条件を用意する. 実験材料として, 即時復唱用に音声提示される30の英文を用意し, 10文つず3セットに分ける. 30名の参加者も3群に分ける. グループごとに, 各英文セットに対して異なるプライミング条件①から③を適用する. 発音向上(プライミング効果)を評価する方法として, リズム, ピッチ幅, 母音([i]と[I]), 発話速度を音声分析し, プレ・ポストテストで比較・分析する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は, 業務の多忙により, 本研究を進めるための十分な時間を確保することができなかった. 本年度については, 校務の負担も昨年度に比べて軽減されると見込まれており, 問題なく研究を遂行できると考えている.
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