研究課題/領域番号 |
23K00731
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
飯野 厚 法政大学, 経済学部, 教授 (80442169)
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研究分担者 |
阿久津 仁史 中央学院大学, 商学部, 講師 (00973695)
ウィスナー ブライアン 法政大学, 文学部, 教授 (10440257)
TANAKA JAY 法政大学, 経済学部, 准教授 (10843500)
伊藤 健彦 法政大学, 経済学部, 准教授 (20829585)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | オンライン対話 / 国際共通語(ELF) / 意味交渉 / 異文化間コミュニケーション能力尺度 / スピーキングテスト / ビデオ会議 / スピーキング / 異文化間コミュニケーション能力 / 批判的思考力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、インターネットを介してオンラインで実現できる対話活動が、日本人英語学習者のスピーキング力と異文化間コミュニケーション能力および批判的思考力の育成に及ぼす効果を探るものである。具体的には、日本人大学生を対象に、国内外の英語話者とオンライン対話を行う機会を定期的に設け、スピーキング能力、異文化間コミュニケーション能力指標および批判的思考力指標における変化を見る。本研究の特徴は、インターネットを活用した共時的コンピュータ媒介コミュニケーションを通常の英語指導の枠組みに取り込み、英語対話力を向上させる手立てとその効果の検証、言語行動と心理的変化を実証的に探る点である。
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研究実績の概要 |
1年目は2つの研究を行った。研究1は、日本人大学生19名を対象として以下の研究課題に取り組んだ: (1)オンライン対話2種類(民間オンライン[OL]英会話プログラムで在外英語話者にインタビュー及び日本人学習者同士のグループOL対話タスク)を2学期に渡って実施しスピーキング力(SP)への影響(いずれも国際共通語ELFとして英語使用)、(2)上記活動によるELFへの態度の変化、(3) 学習者同士の対話タスクでどのような意味交渉(Negotiation for meaning)が観察されるか。 結果として、(1)事前・事後間でSP得点が有意に伸びた。(2)「英語話者としての自己肯定アイデンティティ」質問群において伸びが認められた(中程度の効果量)、(3) 学習者間の対話記録10本のVTR中、5本において意味交渉が観察された。学習者間で母語の適宜使用や相手の意図する語句を補助して示すなど相互学習の作用が見られた。 研究2は、日本人大学生55名を対象に異文化間コミュニケーション能力 (Intercultural communicative competence: ICC)の認識を測る尺度の試作と実施、SP力(PROGOS)および英語使用機会との関係性を調査した。結果として、30問のICC測定尺度から5因子が抽出された。SPとの関係ではICC全体の得点と有意な相関(.43)を示した(特に2因子:「相手の理解度を意識して話す」(.38)、「相手の文化・認識を配慮して話す」(.44))。英語使用機会による3群比較では、OL英会話+学習者間OL対話群、および英語対話重視群が、英語による内容重視指導群よりもICCとスピーキング両方において得点が有意に高かった。本年度は、オンラインのSP課題の効果と実態分析を行えたこと、また、客観的なSPテスト法の入手とICC尺度の作成、それらの関係性が分析できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目に実施予定だった、批判的思考力の測定に関して検討に時間を要した。尺度の作成、パイロット実施が未着手である。次年度は質問紙用尺度を試作し、データ収集を行う。民間オンライン対話+学習者間オンライン対話群に対して学習者間対話のみの群を独立変数として設置し、オンライン対話の効果を測定する。 スピーキングテスト、異文化間コミュニケーション能力(ICC)尺度、批判的思考力(CT)尺度の3観点で変化を見ていく。ICC尺度は1年目に開発したものを継続利用、スピーキング能力の測定方法としてPROGOSオンラインテスト(PROGOS社提供)はTOEIC(LR)の得点との相関も有意に高かったことから(2回実施でr=.76と.61)、今後も利用していく。 学習者が民間オンライン英会話プログラムで在外英語話者にインタビューを行った音声データの収集を徹底し、その質的分析を行う。 以上、研究計画の修正、および測定尺度の検討などに時間を要したため、遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
以下の内容を進めていく、(1)批判的思考力(CT)尺度の開発とパイロット実施、(2)スピーキングデータの質的、量的分析、(3)英語学習者と在外の英語話者とのオンライン対話の分析、(4)日本人学習者同士のグループオンライン対話を質的に分析、(5)各変数内における変化および変数間の関係分析。 昨年度収集できたデータは、通時的なデータとして件数も十分ではない。今後、さらにデータ収集の枠を増やしICC尺度との関係を探っていく。昨年度後半には、オンライン対話を含む比較群をパイロット的に設け、データ収集を試みたが、他の条件を統制することや指導の内容のすり合わせが難しくデータも十分ではなかった。そのため、2年目は比較群に民間オンラインを含めずに学習者間オンライン対話のみの群を設け、オンライン対話がICC等に及ぼす効果を探る。また、可能であれば、オンライン対話のみの群を設け、学習者間のオンライン対話の効果も探索する。批判的思考力養成のための演繹的思考・表現方法に関する指導を埋め込みCT尺度への影響も探る。そのため、通常授業内およびその延長である学習者間オンライングループ対話への指導内容・方法についてすり合わせを行い、さらに確実な処遇実施、データ収集を行うよう本研究協力者と計画していく。
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