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「ことばの教育の連携」に向けたメタ言語教育の構築と教員養成における諸課題の発見

研究課題

研究課題/領域番号 23K00743
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02100:外国語教育関連
研究機関岐阜大学

研究代表者

仲 潔  岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00441618)

研究分担者 岩男 考哲  神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (30578274)
藤原 康弘  名城大学, 外国語学部, 教授 (90583427)
伊藤 創  関西国際大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90644435)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード国語教科書 / 英語教科書 / 英語学習者 / ことばの教育の連携 / 教員養成 / 言語教師教育 / 言語観 / メタ言語教育 / 国際共通語としての英語
研究開始時の研究の概要

本研究は、グローバル化によりもたらされた言語使用の多元化と画一化という社会言語学的分析と、それら言語使用における認知プロセスの解明という認知言語学的分析の両側面から、言語現象の解明を試みる。その研究成果を基盤とし、言語教師が共有すべき知識・態度を体系化し(メタ言語教育の構築)、言語教師教育に応用することを目指す。それにより、これまでにも提唱されてきた「ことばの教育の連携」、すなわち国語教育・英語教育・日本語教育の繋がりを、実践レベルにとどまらず理論的レベルで連携させたい。

研究実績の概要

国語教育に関して、教科書におけるオノマトペの使用量と質を調査した。その結果、オノマトペの使用数は学年が上がると下がること、および低学年ほど辞書に登録されていないものの頻度が高いことが明らかとなった。これにより、国語科において半ば無意識に想定されている,成長に伴うコミュニケーション像の【現場依存→現場からの独立】という変化が現れているのではないかという仮説を導き出した。
日本語教育に関しては、同一事象についての話し言葉と書き言葉によるアウトプットの差異を調査した。その結果、語彙のレベルや語の出自,読解難易度に大きな違いはないことが示され,話された情報と書かれた情報の構造面の違いを定量的に示す必要性があることが示唆された。他方で、日本で学ぶ留学生に焦点をあて、漢字圏と非漢字圏出身の留学生の4技能における言語習得の差を調査した。リーディングとライティングについては,漢字圏学習者の能力が有意に高く、非漢字圏の学習者はスピーキングにおいて高い習得を示した。
英語教育に関しては、教科書分析と学習者の英語使用という側面から調査をした。教科書において非英語圏の登場人物が描かれるものの、画一的な英語(いわゆる標準英語)を着実に習得する姿ばかりが目立った。上述のように、実際の学習者は言語文化的背景により習熟の差異が生じる可能性を有している。また、留学生を対象に英語学習者の用いる実際の英語表現を調査したところ、「日本人英語学習者」によく見られる「文法的間違い」である「うなぎ文」が、日本語以外の言語話者にも共通して見られることがわかった。
以上より、言語的背景の相違をもとに共通点と相違点の一端が明らかになった。それぞれの言語教育においてさらなる調査を行うことで、共通点・相違点の一端をもう少し明らかにし、「言語」の教師として備えておくべき知見をより体系的に示すことが究極の目標である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究を進めていく上で、新たな仮説が生じたり、あるいは研究着手以前の仮説を再考せざるを得ないこともあった。そのため、順調に進んでいる面もあれば、少々遅れをとっている面も否定できない。ただし、本研究全般としての狙いは、メタ言語教育であり、言語教育者にとって有すべき知見を探ることにある。その意味においては、研究成果の中に想定外のことがあっても有益な情報たり得る。おそらく、今後も思うような研究結果を得られないこともあるだろうが、それも踏まえた上で真摯にメタ言語教育のための知見を蓄積していきたい。

今後の研究の推進方策

上述した研究成果については、あくまでも本研究の独自のものである。つまり、既に断片的に明らかとなっている知見が、国語・日本語・英語という言語教育全般にとって有益なものがあるということである。したがって、独自の研究テーマを進める一方で、これまでの先行研究を整理し、体系的・包括的に捉えることも並行して行う。前者については、研究結果が予測不能な面が多いが、後者についてはより安定的に進められると考えられる。前者で得られる研究結果によっては、後者にも多少の影響は避けられないものの、着実に研究を進めていく上で後者にも力を入れていきたいと考えている。
より具体的には、国語・日本語・英語の各教育において、暗黙の前提となっている見方のうち、言語文化に由来するものを整理していく。これは、教科書分析を継続して行うことである程度実行可能であると思われる。また、日本語学習者や英語学習者の言語使用を分析する研究を継続させ、これまで特定の言語話者にとってのみ指摘されてきた特徴の中には、相違点のみならず共通点もあることを示したい。それにより、メタ言語教育にとって必要な知見が得られると考えられるためである。
今年度は、タイで行われる国際学会での発表が決定しており、研究の進行具合によっては他の場においても積極的に発表の機会を持ちたいと考えている。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 非漢字圏・漢字圏出身の留学生の4技能のバランスに関する一考察2024

    • 著者名/発表者名
      越山泰子, 伊藤創, 塩谷由美子
    • 雑誌名

      関西国際大学 Well-being研究叢書

      巻: 1 ページ: 1-13

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 小学校教科書における出現品詞と子どもの発達 ―子どもの多様性に応えるために2023

    • 著者名/発表者名
      岩男考哲・宮地弘一郎
    • 雑誌名

      中國文化大學日本語文學系國際學術研討會 ―SDGs の目標からみた日本語教育と日本研究のダイバーシティ―

      巻: 1 ページ: 132-139

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 同一事象についての話し言葉と書き言葉によるアウトプットの差異に関する一考察2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤創・藤原康弘
    • 雑誌名

      関西国際大学 教育総合研究叢書

      巻: 17 ページ: 165-174

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 英語教科書で学ぶ社会言語学的眼差し:多言語社会の描写を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      仲潔
    • 雑誌名

      社会言語学

      巻: 23 ページ: 79-102

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] ことばと文化の学び(5)ー「植物と英語」2023

    • 著者名/発表者名
      仲潔
    • 雑誌名

      岐阜大学教育学部研究報告

      巻: 72 ページ: 115-123

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Exploring the transfer of topic-comment structures in L2 English: A comparison of Asian L1 speakers2023

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Fujiwara , Takanori Iwao , Hajime Ito , Kiyoshi Naka
    • 学会等名
      Corpus Linguistics International Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 焦点をあてる事態参与者の選択の獲得時期について2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤創
    • 学会等名
      日本言語学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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