研究課題/領域番号 |
23K00745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植田 晃次 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (90291450)
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研究分担者 |
矢野 謙一 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (00271453)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 朝鮮語教育史 / 旧朝鮮語学 / 朝鮮語学習書 / 本田存 / 梶井陟 / 宋枝学 / 基礎朝鮮語 / 朝鮮語 / 原物主義 / 人物史主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はまず明治維新以降1945年までに日本人が朝鮮語と如何に関わってきたかを人物と学習書に着目して旧朝鮮語学という概念によって総合的に解明する。従来、旧朝鮮語学は1945年以降の朝鮮語教育とは断絶したものとしてとらえられてきた。本研究では、旧朝鮮語学研究の成果を1945年以降にも援用することによって、主に一般人が担った運用目的の語学教育である旧朝鮮語学と1945年以降の朝鮮語教育にパラレルな様相が見出せるのではないかという問いを立て、1945年を挟んだ20世紀の日本人が朝鮮語を如何に教え、学ぼうとしたのかを解明する。それによって、近現代日本人と外国語との接触のありようの一端を提示する。
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研究実績の概要 |
2023年度には、各研究者がそれぞれ分担した課題に取り組むとともに、4回の研究会を行い(7月1日、8月5日、9月8日、3月24日)、その成果を統合した。 旧朝鮮語学については、主として研究代表者が担当した。(1)本田存に関する論文を公刊した。(2)本田の朝鮮語教材「韓語講義」を発掘し、その研究を進めた。(3)笹山章の教育活動に係る資料を発掘し、その内容と普通学校教員としての笹山の教育実践の一端と朝鮮(語)観を検討した。(4)鳥取県立図書館の調査を終え、都道府県立図書館蔵の旧朝鮮語学の学習書の調査をひと通り終えた。この成果の全体は本研究の遂行に影響を及ぼす惧れがなくなった段階で公開する予定である。また、鳥取大学・東京大学他のその他機関蔵書の追加調査を行った。さらに、本と活字館では、「作り本」に関連して活版印刷について知見を得た。 20世紀後半については、研究代表者・研究分担者が共同で、(1)敗戦から1970年代初頭に刊行された主な朝鮮語学習書である『朝鮮語入門』(梶井陟)、『新らしい朝鮮語の学習』(梶井陟・宋枝学)、『基礎朝鮮語』(宋枝学)、『朝鮮語の初歩』(卓熹銖)、『朝鮮語の学習』(石原六三・青山秀夫)、『わかる朝鮮語』(梶井陟)等を中心に総合的に検討した。その結果、まず『基礎朝鮮語』についての研究を行うこととした。検討過程で、20世紀後半と旧朝鮮語学では、朝鮮語学習書が持つ性格や社会的位置づけが相異なることが明らかになったため、採るべき異なる方法論を検討した。(2)『基礎朝鮮語』について、研究代表者は主として書誌と著者について、研究分担者は国内で刊行された他の朝鮮語学習書や本国での朝鮮語学の成果を参照しつつ朝鮮語の記述内容について検討した。(3)当時の朝鮮語学習書や朝鮮語学習の社会的位置づけについて、旧朝鮮語学との対比によってその異同を共同で検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、今年度は旧朝鮮語学についての調査・検討を行うべく計画を立てたが、それを来年度以降まで後ろ倒しした。他方、20世紀後半についての検討を前倒しして開始し、1945年以降1970年代初頭までの主な朝鮮語学習書についての研究を行い、研究の方針を打ち立てた。さらに、両時期の相違点を明らかにするとともに、それぞれの研究で採るべき方法論の違いを明らかにできた。さらに、個別の学習書のうち『基礎朝鮮語』(宋枝学)を対象に研究を進めた。 これらの点を合わせて、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
旧朝鮮語学について、研究を進めるとともに、1970年代初頭までの学習書に対する研究を進め、1970年代以降についても研究を開始する。 旧朝鮮語学については、以下の予定である。(1)宝迫繁勝に関する論文を執筆し投稿する。[共同]、(2)本田存「韓語講義」に関して発表を行う。[代表者]、(3)研究途上の学習書と人物についての研究を進める。[代表者]など。 20世紀後半については、以下の予定である。(1)宋枝学『基礎朝鮮語』に関して発表を行う。[共同]、(2)1970年代初頭までの学習書についての研究を進める。[共同]、(3)1970年代以降の学習書についての研究を開始する。[共同]など。 なお、2019年に行われた第6回中日韓朝言語文化比較研究国際シンポジウム(於延辺大学)での発表を投稿した論文「日本近現代朝鮮語教育史の視点から見た松岡馨と朝鮮語」(研究代表者)、「旧朝鮮語学における音声の認識と位置付け」(研究分担者)について、同シンポジウム準備委員会からの2020年9月16日付のメールで、査読を通過して掲載予定であるが出版が遅れているという回答を得て以降、刊行されずにいることは科研費基盤研究(C)18K00782の2020~2022年度の実施状況報告書でも毎年公にしてきた。ところが、2024年2月29日に大韓民国の書店のウェブサイトによって、掲載予定の論文集『日本語言文化研究』第六輯が、上記論文2本とも不掲載のまま2023年7月26日付で刊行されていることに研究代表者が気づいた。なお、査読を通過した投稿論文が不掲載となった事実・経緯について、2024年5月7日時点で同委員会から連絡・説明を受けられていない。このため、事実関係が確認できれば、その後の成果を補い、新たに投稿・公刊したい。
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