研究課題/領域番号 |
23K00768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 淳子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00220335)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 第二言語 / 読解速度 / メタ分析 / 黙読 / 音読 |
研究開始時の研究の概要 |
英語母語話者の読解速度は成人の一般的速度から発達的変化まで一定の基準が存在する。しかし、第二言語の読解速度については、それが母語話者の速度より遅いことは広く認識されているものの、一定の目安となる読解速度は存在しない。それには第二言語の読解速度が母語のように安定していない(例えば、学習者の第一言語や学習環境などに影響される)という理由があるが、そのような要因を考慮したうえで、第二言語読解速度がどのくらいになるかを知ることは、一定の時間の中で英語学習者が読める量を把握することに通じ、教育的な意味がある。本研究はメタ分析により過去の研究成果を統合し、第二言語の読解速度を求めるものである。
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研究実績の概要 |
第二言語での読解速度が遅いことは広く知られているが、第二言語読解速度がどれくらいなのか、というベンチマークは存在しない。本研究の主目的は、第二言語読解速度の研究をメタ分析することにより、第二言語読解速度の統合された値とそれに影響する要素を求めることである。加えて、その中で、第二言語読解速度について見いだされた知見と研究の現状を把握し、将来の研究の方向性や課題を見つけることである。 初年度となる今年は、まず関連文献を収集することが大きな仕事であった。メタ分析のスタンダードなやり方に沿い、まず大学図書館経由で提供されている学術論文データベースの検索、次に関連分野の26の学術誌1つ1つの検索(ジャーナルの検索機能か、1つ1つ論文を見て)、および候補論文の引用文献リストを使い、重複などを除いて147論文まで対象候補論文を絞った。年代の制限は特に設けず、検索エンジンやジャーナルの検索機能の場合は検索可能な最も早い時期から、最終検索時(2023年12月)までとした。またコーディングシートの最初のテンプレートも作成し、候補対象論文の情報を入力した。これらの論文は黙読速度と音読速度の研究に大別され、さらにそれぞれが教育効果検証の論文(事前・事後テストデザイン)とそうでないもの(単発測定 [one-shot] か縦断的研究)に大別される。第二言語の読解速度の研究がこのように大別できることが分かったのは、初年度の発見の1つであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度中にメタ分析に入れる論文検索の第1弾が完成したことは、大きな成果だと言える。コーディングについても最も基礎的なものについては終了した。これはまだ初期段階で、今後もデータ分析や論文の読み込みは続くが、今年度の成果がそれの基礎になることは間違いなく、おおむね順調だといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で候補に残っている論文は来年度以降inclusion criteria (採用基準)に照らして、さらに絞られる。採用基準はある程度は決まっているものの、様々な研究があるので、その特徴を見ながら決めなくてはいけないこともある。例えばBrysbaert (2019)は参与者10名以上を採用基準にしているが、現時点での論文プールにはそれより少ない人数の研究も複数ある。サンプルサイズの採用基準はこれから決めないといけない要素の1つである。Duplicate(同じデータを使った研究)をさらに除くために、同じ著者の論文を注意深く読む、メタ分析に必要な情報がない論文の場合、著者に問い合わせる、コーディングシートを完成させるなども今後の課題である。 コーディングの信頼性を確保するのも重要な課題であるが、読解分野のメタ分析の経験がある研究者が望ましい。幸いなことに、研究代表者とメタ分析を行ってきたEun Hee Jeon 博士が協力してくださることになったので、今後は論文をシェアし、採用基準、コーディング方針、信頼性、分析法など一連の研究プロセスを共同でやっていけることになった。
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