研究課題/領域番号 |
23K00769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桂山 康司 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10194797)
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研究分担者 |
渡 寛法 日本大学, 文理学部, 准教授 (20732960)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | リズム / 意味順 / 口語 / 演説 / 総合的理解 / 実感 / 英語教育 / 英語演説 / 音韻 / 英文法 / 異文化理解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、英語演説文を用いた音韻・文法・文化理解の総合的な指導法を開発し、学習者の技能面と情意面に対する学習効果の検証を目的とする。近年、日本の英語教育では、授業は基本的に英語で、など求められる英語力の高度化が起こっている。一方で、英語学習に苦手意識をもつ学習者も少なくない。第二言語習得理論では、インプットとアウトプットをつなげる学習者の「気づき」を促し、「インテイク」を促進させる指導法の重要性が示唆されている。そこで、音声、表現、内容面で優れた特質を持つ英語演説文に着目し、音韻意識の育成・文法の使用・文化の探究までを含む総合的な英語指導法の開発と効果検証を行う。
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研究実績の概要 |
研究プロジェクト初年次の本年は、音韻・文法・文化理解の総合的な指導法の開発に資すると思われる研究資料の収集に十分な成果があり、また、本務校の京都大学に加えて、非常勤講師として、神戸女子短期大学で「英語コミュニケーション」の授業を3コマ担当、教養教育の一環として教え、さらには、岸和田高校においても「ことばとリズム―「詩とは何か」からはじまる英語学習―」と題して高校生を対象に音韻・文法・文化理解の総合的理解を促す授業実践を行い、そのことを通じて、リズムの相違に焦点を置いた授業が、様々なレベルの学生、特に、従来の英語教育に不信を抱くまでに不得意意識を持つ学生に、劇的に効果があることがアンケート結果等から分かり、特に、リズムが整った平易な口語文ーその代表的な一例が、今回焦点を当てる演説文である―を教材とする際、学生の理解を飛躍的に増大させることが分かった。英語に対して知的な関心を持てなかった学生にとってすらも、リズムという主題に関しては、日本語と英語の本質的相違を科学的に理解し、なお、自身の舌において実感を伴う検証実践を行うことが可能となる教材となり、演説文を代表とする平易な口語文の活用とそれに基づく教育法の開発は、今後、大きく日本における初等教育の改善に寄与するものとなるとの確信が得られたことは、本年度における大きな成果である。従来の、特に実験による、科学的研究法の特質である帰納法的実証主義が、感覚的に言語に接してきた初学者を惑わせてきたことへの反省に基づき、むしろ、感覚的実感を伴う、(音韻の詳細すぎる科学的分析や文法偏重の教育を脱却して)リズムの本質的理解を基礎にした、感覚的言語習得を促進することの重要性が明らかとなり、そのための総合的教育法の原理的、理論的体系化と、それに基づく教材開発による検証作業の必要性が浮き彫りとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音韻・文法・文化理解の総合的な指導法の開発に資すると思われる研究資料の収集が順調に進み、特に、「演説」という用語やジャンルに拘泥せず、演説文のもつ、教材としての可能性を支える本質的特質ーリズム、口語、平易さ、暗記、繰り返し、簡潔さ、言語と文化、象徴、イメージの豊かさ、名句、名文、引用句、故事成句、詩的表現―に関わる文献を広く渉猟できた。また、授業実践においても、新たに、高校生と大学生を繋ぐ教育法の開発に資すると期待される、短期大学生をターゲットにした教育を試みる機会を得たことは、本研究に対するインスピレーションの源泉として十分な手ごたえと成果があり、従来の京都大学における、専門教育を支える基盤としての高度な教養教育の実践と、高大連携授業としての岸和田高校における「ことばとリズム―「詩とは何か」からはじまる英語学習―」と題した授業とも相俟って、多くの示唆を得た。リズムの相違に焦点を置いた授業が不得意意識を持つ学生に、劇的に効果があることがアンケート結果等からも分かり、特に、知的な関心を持てなかった学生にとってすらも、リズムに関しては、日本語と英語の本質的相違を科学的に理解し、なお、自身の舌において実感を伴う検証実践を行うことが可能となる教材となる。演説文を代表とする平易な口語文の活用とそれに基づく教育法の開発が、英語嫌いを払しょくする画期的総合教材の開発への第一歩となることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
音韻・文法・文化理解の総合的な指導法の開発に資すると思われる研究資料の収集を継続する。また、新しい本務校である神戸女子短期大学で「英語コミュニケーション」に加え、4年生の神戸女子大学の教養教育にも積極的に参画し、大学における教養教育に資する教材の特質について全体的に考究、実践的教材づくりを行う。英語に対して知的な関心を持てなかった学生にとってすらも、リズムという主題に関しては、日本語と英語の本質的相違を科学的に理解し、加えて、自身の舌において実感を伴う検証実践を行うことができる教材となり得ることに鑑み、演説文を代表とする平易な口語文の活用とそれに基づく教育法の開発は、今後、大きく日本における英語教育の改善に寄与するものと思われる。従来の、特に実験による、科学的研究法の特質である帰納法的実証主義が、感覚的に言語に接してきた初学者を惑わせてきたことへの反省に基づき、むしろ、感覚的実感を伴う、(音韻の詳細すぎる科学的分析や文法偏重の教育を脱却した)リズムの本質的理解を基礎にした、感覚的言語習得を促進することの重要性を踏まえて、そのための総合的教育法の原理的、理論的体系化と、それに基づく新たな教材開発を行う。また、その効能を裏付ける実験授業を、多様な学生―高校生、短大生、大学生―を相手に実施し、そのデータの整理と分析に基づいて、日本人学習者に適した音韻・文法・文化指導を総合化する教材の開発、作成を志す。
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