研究課題/領域番号 |
23K00791
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮 紀子 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60335239)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | モンゴル時代 / ポスト・モンゴル / 文化交流 / 多言語 / 科学技術史 / ペスト / 世界地図 / ヨーロッパ / ユーラシア |
研究開始時の研究の概要 |
13~15世紀の「東アジア」史の基本資料『元史』と『明実録』の記述を、近年利用が可能になった国内外の膨大な多言語文献と図像・文物資料によって徹底的に照合・検証し、アフロ・ユーラシア史の文脈のなかで読み直す。モンゴル帝国が自らの版図及びユーラシア東西の諸国との折衝・接触のなかから、どのような選択・融合・昇華をなして新たな「知」――政治・経済・軍事・外交のシステムと文化を創りあげたか、その「知」がどのように各地に伝播し影響を与えたか、且つどのように後世に継承されたか、一つ一つ実証してゆく。国内外の東洋学・西洋学・日本学・科学技術史等の欠落部分を補い、各分野への発信・接着を図る。
|
研究実績の概要 |
中国第一歴史档案館所蔵「大明混一図」、日本に伝来する「混一疆理歴代国都之図」と一連の世界地図にみえるヨーロッパ、バルカン、アナトリア方面の地名の校勘、比定作業を行い、暫定案を公開した。アフリカ、イラン、中央アジア、インド等については、検討すべき箇所がいくつか残っているため、別の機会に順次公開してゆく予定である。 モンゴル時代~大明時代初期の河川における船舶航行のマニュアルの翻訳、大元時代の絡繰り時計の復元、中国の医藥書のペルシア語訳とそれに関わる大金~大元時代の漢籍の分析など科学技術史に関わる分析を重点的に行ったほか、モンゴルに接収された大金・南宋地域の人々がそのご在野・官界でどう生き抜いていったかを個別に検証し、また、モンゴル帝室内の抗争の歴史をチンギス・カン以降の姻戚関係を中心に一から見直し、大元ウルスの衰退の原因をさぐった。またそれを補足すべく、オルトク商人に担ぎ上げられた君主・貴族たちの利害関係や大疫(ペスト)等さまざまな角度から考察した。これらの成果は『ユリイカ』、『究』などの商業誌において公表し、できるだけ平易な文体で解説した。現在、書籍化の準備を鋭意進めており、さまざまな追加資料の分析、選定を行っている。 現在、NHKの教養番組の取材、テキスト編集等に協力することによって一年次の研究成果の一端、自身の構築してきたモンゴル世界像を映像化し、社会に還元することに努めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定以上の円安で海外の書籍購入予算に狂いが生じたが、インターネットを活用しながら、13-15世紀の漢語・日本語・ペルシア語・アラビア語・テュルク語・モンゴル語・ヨーロッパ諸言語で書かれた最古最良の典籍・文書現物・地図・ミニアチュール等の図像資料・多言語辞書・対訳資料などの公開デジタル画像、PDF、影印本、研究書等を渉猟し、大部分が入手できた。研究の過程で学界未知の資料もいくつか見つかった。こうした成果は毎月、速やかに公表している。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に書籍費が予算オーバーしたため、今年度使用できる旅費、物品費が減ってしまい、台湾の地震等で調査・研究計画に若干の変更が生じているが、初年次と同様、原典、二次資料の収集・分析を粛々と実施し、速やかな公表につとめる。モンゴル帝室の姻戚関係をさらに深掘りし、ポスト・モンゴル時代の研究に繋げたい。科学技術史方面では、改暦にともなう和算の発展に至るまでの道程を、より詳細に検討する。モンゴル時代の基本資料のひとつマルコ・ポーロの『百万の書』(世界の記述)を軸に、ユーラシアの文化交流をより深く広く分析する。
|