研究課題/領域番号 |
23K00798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
牧田 義也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (90727778)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | グローバル・ヒストリー / アメリカ史 / 国際赤十字運動 / 人道主義 / 国際赤十字運動史 / アジア太平洋史 / グローバルヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は20世紀前半のアジア太平洋地域における人道主義理念の変容過程を、日本・アメリカ合衆国・オーストラリアを中心に推進された国際赤十字運動に焦点を当てて考察する。アジア太平洋地域における日・米・豪の赤十字社による国際的連携に注目することで、人道主義理念が戦争・帝国支配・植民地統治と連動しながら、複合的に再定義されていく様相を包括的に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は20世紀前半のアジア太平洋地域における人道主義理念の変容過程を、日本・アメリカ合衆国(以下、米国と略記)・オーストラリアを中心に推進された国際赤十字運動に焦点を当てて考察することを目的とする。アジア太平洋地域における日・米・豪の赤十字社による国際的連携に注目することで、本研究は、ヨーロッパ諸国の戦時事業を中心に叙述されてきた従来の赤十字運動史を刷新し、ヨーロッパ起源の人道主義理念が、アジア太平洋地域の戦争・帝国支配・植民地統治と連動しながら、複合的に再定義されていく様相を包括的に分析している。この研究目的に沿って、令和5年度は、フランス・グルノーブルのグルノーブル大学で開催された研究会議"Mental Health, sexuality and gynaecological treatments"(2023年6月12日開催)およびスイス・ジュネーブの赤十字社連盟本部で開催された研究会議"The League of Red Cross Societies: Historical Perspectives, 1919-1991"(2023年6月14-16日開催)において、研究成果の一部を発表した。これらの国際会議の場では、本研究課題がもつ潜在的な可能性と、それに付随する解決すべき方法論上の課題について、多角的な観点からさまざまなフィードバックを得ることができた。また、関連史料の分析を進めながら、当該分野の研究動向に関する包括的な調査を行うとともに、研究論文およびその他の論考の執筆を進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、関連分野の研究動向を包括的に調査し、本研究課題の位置付けを明確にするとともに、その一部を国際会議の場で発表して多様なフィードバックを得ることができた。これらの研究活動を通じて、本研究は当初の予定通り、1920年代までに国際赤十字運動を支える人口動態上の基盤が、ヨーロッパからアジア太平洋地域へと地理的に移行したことを明らかにするとともに、日米豪3か国の赤十字社が、域内各地で保健衛生分野をはじめとする平時の人道支援に着手したことから、国際赤十字運動の事業範囲は、主権国家間の戦時援護活動という旧来の枠組を超えて、植民地・委任統治領を巻き込んだ多角的な人道支援活動へと拡大されていった過程を論証してきた。また、収集済みの史料分析を進めることによって、次年度以降に調査・研究を進展させるうえで必須となる知識や方法論の基盤を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究活動を通じて得られた知見を基盤として、基本的には同様の研究方法を維持しつつ、さらなる分析を進める。とくに令和6年度は、20世紀の国際赤十字運動を特徴づけた災害救護と食糧支援に関わる諸問題に焦点を絞って、各国赤十字社の救護・援助事業を統合・合理化する国際人道支援枠組の構築過程について考察する。本研究では、赤十字社連盟常任理事会における日米豪の議論に焦点をあて、国際人道支援枠組の構築が中国の主権問題に抵触する政治性を帯びたことを指摘するとともに、他の植民地・委任統治領にも適用可能な「人道的介入」の範例となったことを論証していく。
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