研究課題/領域番号 |
23K00806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
猪熊 兼樹 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (30416557)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 物質文化 / 東アジア / 宮廷 / 工芸 / 礼制 / 有職 / 腰輿 / 文化相対主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、前近代の東アジア(日本・中国・韓国・ベトナム・琉球)の宮廷空間を形成する工芸(宮殿・調度・服飾)を対象とし、東アジアの実情に即した物質文化研究の体系を構築するものである。東アジア文化圏として、中国大陸・日本列島・朝鮮半島・インドシナ半島東岸・琉球諸島を設定する。東アジアの宮廷空間では、外廷には共通規格が現出するのに対し、内廷には地域や民族の基層文化を反映した相異特色が現出する現象に着目し、それぞれの宮廷空間を形成する工芸を相対的に検証する。本研究の成果は、東アジアの諸文化の相異特色について文化相対主義の立場から理解し、今日的課題である多文化共生に資する歴史研究となることを念頭に置く。
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研究実績の概要 |
東アジア文化圏の中枢にあった中国の宮廷では儒教的秩序の維持に努め、その理念を礼制によって具現した。礼制は身分に応じた建築・器物・衣服などの形式や意匠の規格に言及するために物質文化と密接な関係をもつ。そして礼制は東アジア各地の宮廷に広がり、時空を超えた普遍規範となって国家の公式空間である外廷を形成した。一方、君主の私的空間である内廷は各地・各民族の背景にある風土や生活習俗などが反映した工芸によって形成される。従って、外廷の宮廷工芸には東アジアの共通規格が現出し、内廷の宮廷工芸には各地・各民族の基層文化が現出するので、各宮廷を相対的に検証するうえでの好資料となるのである。 本研究では、東アジアの宮廷工芸について実物資料・文献史料・生活習俗の観点から調査し、諸調査の総合に基づく検証を行う。 2023年度の調査は、日本の宮廷工芸(東京国立博物館蔵「腰輿」ほか)、祭祀遺構(斎宮跡ほか)、宮廷行事(賀茂祭ほか)に関する調査、中国の宮廷工芸(天壇文物ほか)、祭祀遺構(天壇ほか)、宮殿(頤和園ほか)に関する調査、韓国の宮廷儀式図(国立中央博物館蔵品ほか)、宮殿(南漢山城ほか)に関する調査を行なった。また、日本・中国・韓国・ベトナム・琉球の宮廷制度や生活習俗に関する文献調査を行なった。 調査対象のひとつである東京国立博物館が所蔵する「腰輿」は安政二年(1855)に内裏(現在の京都御所)で挙行された新嘗祭に際して孝明天皇が用いた貴重な資料であることを確認し、これをクリーニングして2024年4月2日より東京国立博物館において公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の予定どおりに実物資料・文献史料・生活習俗などの調査を行なうことができた。引き続き、計画的に調査を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き、これまでの調査研究を通じて得た知見や交流に基づき、東アジア(日本・中国・韓国・ベトナム・沖縄)の宮廷工芸(宮殿・調度・服飾)に関する調査研究を行いながら、東アジアの実情に即した実証的な物質文化研究の構築をまとめる準備を進める。 特にベトナム宮廷の宮殿・調度・服飾に関する調査を行なうことを予定している。
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