研究課題/領域番号 |
23K00807
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤方 博之 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (40727674)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 日本近世史 / 地方知行制 / 仙台藩 / 御預給主 / 領主制 / 武家社会 / 地域社会 |
研究開始時の研究の概要 |
主君が家臣に土地を与えて一定の支配を認める地方(じかた)知行制は、採用する大名家が近世前期を通じて逓減したものの、大大名家に限れば維持されることが多かった。武士が土地を直接支配する同制度は、支配を受ける地域社会に及ぼす影響が大きく、その運用実態の究明と制度不採用地域との比較は近世社会の構造理解のために不可欠の課題である。 そこで本研究では、先行研究に学びつつ、旧仙台藩領に伝わる武家・村方双方の史料について調査を行い、近世後期を中心に関連史料を抽出・分析する。そのうえで武士の生活実態と村における共同性のあり方を検討することを通じて、地方知行制が存続したメカニズムを究明しようとするものである。
|
研究実績の概要 |
本研究においては、まず旧仙台藩領に伝わる武家・村方双方の史料について調査を行い、近世後期を中心に関連史料を抽出・分析する。そのうえで、武士(特に在郷する零細な知行主に注目する)の生活実態と村における共同性のあり方を検討することを通じて、地方知行制が存続したメカニズムを究明することを目指している。 2023年度は、武家・村方文書ともに調査対象を選定し、その整理・撮影作業を進めることを予定していた。武家文書については、猪狩家文書(えさし郷土文化館所蔵)を主な調査対象とすることとした。猪狩家は仙台藩の御預給主(きっしゅ)で、藩主直臣ではあるが藩主一門の岩谷堂(現・岩手県奥州市)伊達家に与力として附属していた(岩谷堂給主)。猪狩家の知行高は3貫341文であり、仙台藩の武士身分のなかでは小規模な知行主といえ、本研究課題の対象として好適である。2回の調査を通じて約4100コマの撮影を行うとともに、撮影画像を用いた分析、特に、岩谷堂給主の来歴をまとめた由緒書「武備盛衰記」の翻刻・分析を行った。その内容の一部を盛り込み、「地域史研究講座2024第2回」(奥州市教育委員会・えさし郷土文化館主催)にて、「猪狩家文書からみる岩谷堂給主仲間」と題して講演を行った(2024年2月)。「武備盛衰記」の翻刻は完了しているため、来年度以降に研究協力者と校訂に取り組み、公開に向けて準備を進める。 村方文書については、菅原家文書(えさし郷土文化館所蔵)を対象とすることとした。同家は、猪狩家の知行地があった江刺郡増沢村の村役人を務めた。猪狩家文書とあわせて、支配・被支配の実相を掴むことができる可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、武家・村方文書ともに調査対象を選定し、その整理・撮影作業を進めることを予定していた。武家文書については猪狩家文書を主な調査対象とすることとし、研究協力者の参加を得て調査を2回実施し、整理・撮影を進めることができた。村方文書については、菅原家文書を対象に選定し、調査を通じて文書群全体の概要を把握した。 また、注目すべき史料を選び、紹介原稿として公表することを目指して翻刻に着手することを計画していた。この点は、猪狩家文書中の「武備盛衰記」を選び、翻刻を完了させた。
|
今後の研究の推進方策 |
猪狩家文書の分量が想定より多いため、2024年度は整理・撮影に注力する。これと並行して目録作成に着手する。菅原家文書については、村政の実態を把握するため御用留の類を優先的に撮影し、猪狩家文書とあわせて内容の分析を進める。
|