研究課題/領域番号 |
23K00813
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉川 真司 京都大学, 文学研究科, 教授 (00212308)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 古代荘園 / 荘園史 / 古代寺院 / 弘福寺 / 法隆寺 / 東大寺 / 興福寺 / 資料デジタル化 |
研究開始時の研究の概要 |
日本古代の荘園については、20世紀末から研究が進み、古代荘園は必ずしも没落せず、中世に連続するものがあることが知られるようになったが、その具体相はまだ十分明らかではない。本研究は、法隆寺・弘福寺・東大寺の古代荘園について、個別具体的な検討を行ない、地域や領主による違いにも配慮しながら、連続・展開の実態を明らかにすることにより、古代~中世の荘園史に関する認識をさらに深化させようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究では、「古代寺領荘園の中世的展開」を具体的に考えるため、法隆寺・弘福寺・東大寺の古代荘園から適切な事例を選び、原史料と現地に即した検討を進めることとしている。今年度の研究においては、当初計画をやや変更した部分もあったが、以下のような研究実績を得ることができた。 (1)東寺文書(東寺文書・東寺百合文書・教王護国寺文書)を博捜し、東寺末寺となった弘福寺の古代荘園に関する史料を集成した。すでに目録と仮釈文は完成しており、弘福寺領荘園を考えるための基礎作業を終えた。 (2)個別荘園の研究として、法隆寺領播磨国鵤荘と東大寺領美濃国大井荘について、これまでの調査・研究を再検討し、荘園故地を踏査することにより、古代荘園としての実態を把握した。前者については、弥生時代に始まる水田地帯が5世紀にミヤケとされ、7世紀に法隆寺に施入されて古代荘園となり、ほぼそのままの領域が11世紀中葉に中世荘園に転成したこと、古代には田租・出挙を中心とした経営が行なわれたらしいことなどを解明した。後者については、墾田主体の荘園が古代から中世へ連続する様相をよく示し、その間に荘域が約2倍に拡大したことを、新発見の文書を吟味しつつ現地に即して論じることができた。このほか興福寺領古代荘園にも中世に連続する様相を見出し、その予備的考察を行なった。 (3)教王護国寺文書のうち、5279カットのデジタル撮影を行なった。その結果、文書群全体の8割強がデジタル画像としてデータ化された。このデータは本研究で活用できただけでなく、近い将来におけるネット公開に向けて大きな蓄積となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画をやや変更した部分もあるが、(1)弘福寺領古代荘園に関する史料集成、(2)古代寺領荘園に関する個別具体的な研究、(3)教王護国寺文書のデジタル撮影、という年次計画の三本柱を着実に推進することができた。また(2)については、研究代表者が責任編集した書籍を刊行し、古代荘園に関する新しい知見をもたらした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究が順調に遂行できたため、今後の研究も当初計画に沿って推進することが可能となった。 古代荘園の個別具体的な研究に関しては、今年度の史料集成作業に立脚して、弘福寺領古代荘園の調査・検討を進めていくことになる。東大寺領・興福寺領についても、適切な事例を再吟味し、既存の調査・研究を批判的に検討しつつ、史料読解と現地踏査を行なう予定である。これらの作業を通じて、古代から中世へ連続・発展する寺領荘園の特質を、経営実態や地域性を中心としながら解明していくことになる。 教王護国寺文書のデジタル撮影もさらに進め、全点の撮影完了にこぎつけたい。デジタル画像データは、本研究において十全に活用するだけでなく、京都大学貴重資料デジタルアーカイブで公開し、研究者の利用に供する。そのためには古文書一点一点のデータ整理とメタデータ作成が急務であり、次年度以降はこちらにも力を入れる予定である。
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