研究課題/領域番号 |
23K00821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
落合 功 青山学院大学, 経済学部, 教授 (10309619)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 環境 / 塩業界 / 石炭 / 薪炭 / 塩浜と山村 / 製塩業 / 燃料 / 地域社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、これまで塩業史研究であまり注目されてこなかった燃料(塩木)に注目し、山村と塩浜の社会的関係と、山林資源を持続的に維持し続けられた近世の地域社会の有り様を明らかにする。 具体的には、①近世において入浜塩田が築造され製塩業が発達した瀬戸内地域、②瀬戸内塩が流入することで塩田が荒廃するか、または加賀藩のように藩の保護によって存続し続けた北陸、北国地域(日本海側の東北地方)、③生産性が低いながらも製塩業が維持され続けた東日本地域(東北太平洋岸)の三つの地域の特質について、大量に塩木を必要とする製塩地と、山林保全をはかりつつ山林伐採を生業としていた山村との社会的関係と変化から検討する。
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研究実績の概要 |
本研究課題について、今年度は史料調査を中心に実施した。具体的には福井県立文書館、敦賀市立博物館、姫路市史史料調査室、兵庫県立博物館、広島県立文書館、福岡県立図書館などである。薪炭関係史料や石炭関係史料は見つからないことが多く今後の課題である。 また、研究実績としては、直接環境問題とは関わらないが、塩業史研究の成果である前田廉孝『塩と帝国』の書評紹介を発表した(『日本歴史』900)。同紹介を通じて、現在の近代塩業史研究の水準を再度検討し、今後の課題が明らかになった。 また、塩を原料としている醤油醸造業の展開について、「近代前期、東京近郊の醤油醸造業と醤油業界」(井奥成彦・中西聡編著『醸造業の展開と地方の工業化』慶応義塾大学出版会)、「幕末期、江戸近郊農村における造醤油業と江戸問屋仲間」(大石学・落合功編著『江戸東京移行期論』戎光祥出版、2024年)を発表している。また、金融史については、一般向けの本になるが、『ちょっと深掘り 日本金融史』(学文社、2024年)を刊行している。また、戦間期の経済思想として、「道徳と経済の調和」(松野尾裕・見城悌治・落合功編著『報徳思想とその展開』不二出版)を発表した。近代の塩業史の動向を考えた「塩業諮問会の開催」(『日本塩業の研究』第37集、2023年)、近世の経済政策の特質を俯瞰した、「三大改革の経済政策思想」(『経済研究』2024年)などを成果として発表することが出来た。これらの多くは、科研の採択前からの本年度の予定としていた成果であり、本テーマに直接つながるものとは必ずしも言えないが、本研究課題解決に向けた基礎的な内容であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題については、現在は史料調査を中心に進めているため、それ自体は研究論文として成果は出していないが、史料は蓄積されつつあるので問題ないと考えている。ただ、目論見通りの史料があるとはいえず、さらなる史料調査を続ける予定である。 加賀藩の製塩業については、とりわけ能登半島に史料があると考えられるが(もっとも金沢市立図書館や石川県立博物館で調査する予定)、震災の影響もあり、しばらくは調査をしないことを考えている。ただ、今年度、来年度の中で、状況が落ち着いた段階で調査を再開することも考えたい。 最近は、西日本で多くの塩業関係史料が使えるようになり、しかも調査する量が膨大なため、西日本での調査を多く行っている。ただ、本研究課題は東北地方の製塩業にも目を向けることが課題でもあるので、その点に配慮した調査活動を行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
自分の研究スタイルは、個々の史料を読み込み明らかにしていく中で成果を積み上げていく方法である。よって、従来通り史料調査を進めながら、個々の研究成果を出していくこととしたい。 もっとも2024年度は、研究成果を発表するまでには至らないと考えており、史料調査を継続していくことを第一義に考えている。 大きな問題や課題は無いので、今年度も引続き同様に研究活動を推進して行ければと考えている。
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