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幕末維新期の公家「家政」に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K00822
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03020:日本史関連
研究機関桜美林大学

研究代表者

田中 暁龍  桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (30511852)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード幕末維新史 / 日本近世史 / 公家 / 家政 / 政治・社会史 / 法制史
研究開始時の研究の概要

近世の天皇・朝廷や朝幕関係、公家社会について研究の成果と、幕末維新史研究とを接続することをねらい、幕末維新期における公家社会の構造的把握に向けた基礎的研究を行い、当該期の政治・社会史研究の一助とする。
18世紀後半以降、公家の諸階層にみられる身上がり意識の高まりとともに、身分秩序の激しい動揺が生まれ、摂家による公家支配が揺らぐなか、公家諸階層の政治関与が起こったが、本研究では、幕末維新期における公家社会の多面的な認識の抽出を試みる。
その際、幕末維新期に公家の家臣編成や統制がいかに行われ、どのような「家政」が運営され、いかなる変容がみられたか、実証的なアプローチを通してその基礎的研究を行う。

研究実績の概要

幕末維新期における公家社会の内部構造とその多様な変容の様相を解明することを前提に、当該期の公家の家臣編成や統制がいかになされていたか、公家の経済向も含めた「家政」がいかになされていたか、それらの変容の実態を究明することを目的に研究を進めた。
2023年度には、第一に幕末維新期の公家関係の史料、古記録を蒐集し、整理・分析を行い、特に専修大学図書館所蔵「菊亭文庫」の今出川家(菊亭家)の史料の閲覧、史料蒐集をおこなった。中でも、今出川家家臣の諸大夫・侍の記した役所日記「日次記」が天保2年から明治30年まで199冊残っており(マイクロフィルムで閲覧・複写可)、この分析を中心におこなった。
そして、本研究の成果を、田中暁龍「近世後期における公家の在地支配-天保期、今出川領下鳥羽村不勘定一件を中心に-」としてまとめ、桜美林大学研究紀要『人文学研究』第4号、2024年3月に寄稿した。
論考では、天保4~5年、今出川家の所領山城国紀伊郡下鳥羽村で不勘定一件が起き、事件を起こした村役人を重い処罰に処し、この処罰につき武家伝奏を通じて幕府側に届け出たこと、一方で村方から幕府への出訴がなされ、かつ本圀寺による和談がなされる始末となったこと、これに対して地頭今出川家として、村方に釘を刺し、あくまでも今出川家の領分として、「筋外」に願い出ることを許さない認識をもっていたことなどを明かにした。
ここには、公家は自らの「一円御趣意」を貫徹し、「御殿御政事筋」を強く意識していたこと、不正をおこなった村役人や郡代・代官を処罰し、かつ村方や自らの家司へ法を制定し、領主支配を継続しようと努力していたこと、公家今出川家に対して、その意向を蔑ろにし、幕府の威光を楯にとって領主支配を相対化する村方百姓らの意識が表れていたこと、なども指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度の研究の成果を、田中暁龍「近世後期における公家の在地支配-天保期、今出川領下鳥羽村不勘定一件を中心に-」としてまとめ、桜美林大学研究紀要『人文学研究』第4号、2024年3月に寄稿することができた。
今出川家(菊亭家)の経済向も含めた「家政」の実態については、まだまだ課題が多く残されているが、まずは公家の役所日記から、近世後期における公家の在地支配の特色を分析することができた。
そして、京都近郊農村としての相給村としての性格を欠いてはいるが、天保期の下鳥羽村不勘定一件の分析を通して、今出川家が在地の地頭として、自らの「一円御趣意」を貫徹し、「御殿政事筋」を意識し、不正をおこなった村役人や郡代・代官を処罰し、かつ村方や自らの家司へ法を制定し、領主支配を継続しようとする動向を抽出することができた。こうした意識が他の村にも適用できるか、また他の公家の場合はどうかなど、より広範囲に研究を進めていく必要がある。
また、地頭の今出川家の意向を蔑ろにし、幕府の威光を楯にとって領主支配を相対化する村方百姓らの意識も抽出でき、本研究の結果を踏まえ、他の公家領における在地支配のあり方をどのように考えるか、さらに課題が残されている。

今後の研究の推進方策

令和6年度においても、専修大学図書館所蔵「菊亭文庫」の今出川家(菊亭)の史料の閲覧、史料蒐集を通して、今出川家の「家政」の分析を引き続きおこなう。また、公家は広範囲に大名との通路をもっているが、その経済的支援も見逃せない。そうした公家と交流をもつ諸大名の記録にも着目し、各地の文書館や資料館の史料の閲覧、蒐集をおこないたい。
特に、今出川家家臣の諸大夫・侍の記した役所日記「日次記」のほか、今出川公久正室の阿屋子、今出川実順正室の美津子がそれぞれ記した「日記」が文久3年から明治12年まで22冊残っており、これらの分析を通して、公家の妻の「家政」における役割の一端を分析したい。
令和7年度は、「菊亭文庫」内の金銭貸借関係の古文書が天保4年から明治11年まで101件残っていることから、これらの分析を通して、上記の分析とともに経済向も含めてどのような「家政」を行っていたかその実態を究明する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 近世後期における公家の在地支配-天保期、今出川領下鳥羽村不勘定一件を中心に-2024

    • 著者名/発表者名
      田中暁龍
    • 雑誌名

      桜美林大学研究紀要『人文学研究』

      巻: 4 ページ: 296-311

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 近世後期における公家の在地支配2024

    • 著者名/発表者名
      田中暁龍
    • 学会等名
      近世法史研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 橋本政宣編『後陽成天皇』(「江戸幕府の成立と朝廷」を担当)2024

    • 著者名/発表者名
      田中暁龍
    • 総ページ数
      645
    • 出版者
      宮帯出版社
    • ISBN
      9784585003113
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 江戸に向かう公家たち みやこと幕府の仲介者2023

    • 著者名/発表者名
      田中暁龍
    • 総ページ数
      253
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      9784642059763
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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