研究課題/領域番号 |
23K00835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三谷 芳幸 筑波大学, 人文社会系, 教授 (80756271)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 日本古代史 / 比較史 / 人民支配 / 国土支配 / 政治理念 / 人民 / 国土 / 律令制 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の古代国家は、独自の政治理念によって、全国の人と土地の支配を正当化していた。本研究では、そのような日本古代の人民・国土支配理念が、中国古代と異なるどのような特徴を持っていたのかを、比較史的な方法によって明らかにすることを目指す。宣命や祝詞などの史料で、人民・国土支配にかかわる和語がどのように使われているかを分析し、中国発祥の理念と日本固有の理念にいかなる違いがあったのかを究明していく。
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研究実績の概要 |
本研究では、日本古代の律令国家が、どのような政治理念のもとに、全国の人と土地を支配したかを明らかにしたいと考えている。中国との比較により、律令国家の人民・国土支配理念に、どのような日本固有の特質があるのかを究明しようとするものである。具体的には、宣命・祝詞などにみえる特定の和語の用法に着目し、そこに表れた日本的な支配理念の特徴を分析する。また、中国の古典や法令にみられる支配理念が、どれほどの水準で日本に受容されたかを検討し、日本的理念から中国的理念への変遷を跡づける。こうした作業により、人と土地の支配における日中律令制の異同を、理念レベルで解明することをめざしている。 初年度である2023年度には、「オホミタカラ」(公民)・「オホヤシマグニ」(大八洲国)・「ヲスクニ」(食国)などの和語を中心に、日本固有の人民・国土支配理念に関する史料の用例を、重点的に集成・分析することを課題として設定した。その方針のもとに、宣命・祝詞などの和文史料から、具体的な用例を収集する作業をすすめた。とくに「オホヤシマグニ」の理念にかかわる祭祀・儀礼として、天皇の即位時の八十島祭に着目し、同祭に関する史料と研究文献の整理につとめた。八十島祭に関しては、それにまつわる史跡の実地踏査にもつとめ、五反島遺跡(大阪府吹田市)・住吉大社周辺(大阪市住之江区)・淀川水系一帯について、現地訪問と資料収集などの調査をおこなった。また、日本古代の国土をめぐるコスモロジーを論じた研究書について、書評を発表する機会を得たことは、以上の作業を進展させるうえで有益なものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
5年間の補助事業のうち、前半の2~3年間は、宣命・祝詞・和歌などの和文史料を政治テクストとして分析する作業に重点的に取りくむ計画である。そのためには、神祇・儀式関連のものを中心に幅広く史料を渉猟し、また日本語学・日本文学・神道学など、隣接分野の成果を広く参照して、支配理念にかかわる和語の用例集成と検討をすすめる必要がある。 しかしながら、2023年度には、エフォートが研究以外の業務に多く割かれてしまったことで、上記の作業を十分に進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、「オホミタカラ」(公民)・「オホヤシマグニ」(大八洲国)・「ヲスクニ」(食国)などの和語について、引き続き用例の集成につとめ、包括的な分析を推し進められるようにしたい。2023年度には、国土支配理念に関する作業が中心となり、人民支配理念にまで作業が及ばなかったので、2024年度には、後者にも着手できるよう工夫したい。2023年度に重点的に取りくんだ八十島祭については、2024年度も調査を継続し、「オホヤシマグニ」理念に関する一定の理解に到達することをめざしている。具体的には、伊勢神宮関連の史料をはじめとして、神祇祭祀にかかわる史料を博覧し、国土・人民支配理念の語彙用例の網羅的に集成するとともに、通時的に整理する作業を実行していく。
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