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近世浦方社会の編成とその経済構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K00839
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03020:日本史関連
研究機関山口大学

研究代表者

木部 和昭  山口大学, 経済学部, 教授 (20263759)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード浦方 / 漁村 / 港町 / 水主役 / 漁業史 / 浜田藩 / 萩藩
研究開始時の研究の概要

近世期の諸藩では、海に面した集落を、農村部とは異なる編成原理で統治した事例が少なくない。これが「浦方」である。この浦方については、従来、漁村や漁業史の観点から捉えられることが多かったが、実際には漁業以外の廻船業や港町商業など多様な要素も内包する社会であった。本研究では、こうした浦方の多様な機能・生業についても着目し、浦方社会の全体像の把握を目指す。また、諸藩における浦方編成のあり方やその推移を、中心的課役である水主役・船役を通じて分析し、領主権力が海の世界をどの様に把握・編成し、そこに何を求めていたのかを明らかにすることで、近世期の浦方社会の特質について考察したい。

研究実績の概要

本年度は、浦方の実態解明のため、主として浜田藩領(島根県益田市および浜田市)に残された浦方関係文書の調査を実施した。
9月に益田市および浜田市にて予備調査を実施し、教育委員会の担当者から史料所在情報を得ると共に、文献収集を行った。益田市に関しては、浜田藩領益田組中須浦の古文書である「中須自治会文書」の調査・撮影を11月に実施した。
一方、浜田市域の史料に関しては、同市によって所蔵・整理された複数の文書の調査を11月および1~3月の間に3度にわたって実施し、大きな成果があった。中でも、同市教育委員会所蔵の「谷田家文書」は特筆すべき史料群であった。浜田藩領の浦方は、浦奉行の下で四組に編成され、各組ごとに置かれた浦大年寄がこれを統轄していたが、谷田家は跡市組(東浦組)の浦大年寄をつとめた家だったからである。この他にも東浦組の浦方であった唐鐘浦の「唐鐘公民館文書」(同市教育委員会所蔵)、久代浦の「中尾尾崎家文書」(浜田市立中央図書館所蔵)の調査・撮影も実施し、浜田藩の浦方制度の実態解明が期待できる。
浜田藩の浦方関係文書としては、神奈川大学常民文化研究所所蔵の漁業制度史料調査筆写稿本の内、三隅組の浦大年寄であった「鈴木家文書」についても3月に調査を実施した。これは筆写史料ではあるが、原文書が所在不明であるため、本研究にとって貴重なものであった。常民研の調査は複数回予定していたが、浜田市に想定以上に残されていた浦方関係文書の調査を優先したため、1回しか実施できなかった。
浜田藩領の調査を優先した結果、萩藩および岩国藩に関する調査はあまり進まなかったが、萩藩船手組頭・村上家文書(山口県文書館所蔵)の調査を5月に実施した。ただ、同家文書は什書類が中心で、浦の実態を示す史料はほとんど無かったのが残念である。萩藩および岩国藩の関係史料については引き続き調査を進めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、浜田市において想定以上に浜田藩の浦方関係文書が残されていることが判明し、その調査を優先したため、以下のように研究計画にやや遅れが生じている。
本年度に予定していた萩藩および岩国藩の藩政文書の本格的な調査は、研究代表者の勤務校の地元に残る史料群ということもあって、完全に先送りにしてしまった。そうした中で実施した萩藩船手組頭・村上家文書(山口県文書館所蔵)の調査では、浦の実態を示す史料がほとんど含まれていないことが判明し、船手組と水主役制度に関する研究をまとめるには至らなかった。
また、神奈川大学常民文化研究所所蔵の漁業制度史料調査筆写稿本の島根県分の調査も、日程の都合で一度しか実施することができなかった。
以上のように進捗状況に遅れは生じているが、これは想定外に史料が見つかるという、ある意味うれしい誤算の結果であるため、研究の遂行に問題はないものと考えている。

今後の研究の推進方策

浜田藩領の浦方関係史料については、一部が島根県立図書館(松江市)にも所蔵されているという情報を得たため、まずはその調査を実施する。この際、島根県公文書センター(松江市)所蔵の旧浜田県庁文書から、明治初年の「漁業慣行調査」についての史料調査もあわせて実施する。
また、神奈川大学常民文化研究所所蔵の漁業制度史料調査筆写稿本の島根県分の調査については、副本が水産資源研究所図書館(横浜市)にも所蔵されており、こちらは写真撮影も可能であるという情報を得た。このため、調査先を水産資源研究所図書館に切り替え、石見国だけでなく出雲国(松江藩)分も含めた筆写稿本についての調査・撮影を早期に済ませる予定である。
以上により、浜田藩の浦方制度についての調査は一段落するので、萩藩との比較も交えた分析を論文にまとめたい。
これらと並行して、萩藩については、萩藩の藩政文書群である毛利家文庫(山口県文書館所蔵)を中心に、天正検地(太閤検地)にまで遡って浦方制度の源流を見出すとともに、参勤交代・朝鮮通信使関係史料などから水主役・船役と漁業権の関係を再検討する。また、岩国藩については、漁業や廻船業、水主役に関する史料を吉川家寄贈藩政資料(岩国徴古館所蔵)より抽出し、まずは基本的な浦方制度の概要と水主役の実態把握に努める。萩藩に関しては、研究代表者にある程度の研究蓄積もあるため、何とか研究の遅れを挽回できる見込みである。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 江戸時代の日本海海運と山陰地域2023

    • 著者名/発表者名
      木部和昭
    • 学会等名
      島根県立古代出雲歴史博物館企画展「しまね交通クロニクル」関連講座
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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