研究課題/領域番号 |
23K00843
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中山 大将 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (00582834)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 残留 / 境界 / 移動 / 国民 / 記憶 / アイデンティティ / 日本 / 移民 / 冷戦 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、旧日本帝国圏における残留問題の統合的研究を行なう。残留現象は、従来は引揚げの対となる現象でありながら例外的現象のように研究上も扱われてきたが、本研究では境界変動がもたらす必然的で普遍的な現象であることを示す。本研究では外交史料館資料と国会会議録を中心的一次史料として、冷戦期に日本政府が直面していた在外国民に対する国民再編問題に着目し残留現象と残留問題の全体像を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、旧日本帝国圏における残留問題の総合的研究を行なうことである。今年度は、「残留」をめぐる理論的研究を行ない、その成果として、国際学術会議ISA(International Studies Association) Asia-Pacific Region Conference 2023で“Border Shifting and Remaining in Modern East Eurasia”という題の報告をしたほか、残留の要因となる境界変動に関する一般的研究として、論文「境界地域を問い続ける引揚者:工藤信彦『樺太覚書』とサハリン島近現代史」(『民衆史研究』第105号)も刊行した。また、サハリン残留日本人問題の基礎的資料のひとつとして、大槻忠史、木村由美、中山大将編『樺連情報DB』の公開も行なったほか、残留者と本国人たちとの交流の場となった慰霊碑やその建立に関して、同志社大学人文科学研究所第106回公開講演会で「慰霊碑が語ること語らないこと:日ソ戦争が生み出した樺太住民の故郷喪失」という題で口頭発表を行なった。理論的研究の成果としては、「残留」の構築性、すなわちは、何が「残留」とみなされるのかは、境界変動をめぐる「記憶構築」の在り方に強く左右され、同様の現象でも歴史・社会的状況によって「残留」とみなされる場合もあれば、そうではない場合もあり得るのであり、残留研究はそうした構築性まで射程に入れる必要性があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画上の「問い」は「日本政府の「残留者」政策はどのように変遷したのか」ということであった。この「問い」をめぐっては文献等での調査を進めたものの、年度中の転任などの影響で計画通りの調査や資料収集が達成できたとは言えない。ただし、一方で当初の予定にはなかった理論的研究を行なう余地と機会も生まれ、本研究課題を遂行するための理論的枠組みの整備が行なえた。これは、第3年度に取り組み予定であった「問い」の「何をもって「残留」「残留者」と呼ぶべきか」を部分的に先行して実施したものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は計画通り、第1・2年度の「問い」である「日本政府の「残留者」政策はどのように変遷したのか」に引き続き取り組む。そして、第3年度では、「「残留」「残留者」にはどのような類型があるのか」「他集団の「残留」と日本人の「残留」にはどのような相違があるのか」という「問い」に取り組んだうえで、第1年度に先行して部分的取り組んだ「問い」の「何をもって「残留」「残留者」と呼ぶべきか」に立ち戻り、本研究の総括を行なう。
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