研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本の古代国家・社会における「表状牋啓書儀」の受容の実態を明らかにし、日本の古代文書の全体像を解明して、東アジア古文書学の構築を目指すものである。日本の古代文書は、公式令に規定された「公式様文書」を中心に考えられてきた。しかし、日本においても中国・唐においても、公式令の文書は公文書の一部に過ぎず、背後には「書儀」による書状形式の公文書が存在した。中国の研究者によって、「表状牋啓書儀」(敦煌写本)に分類された書状形式の公文書の書式を分析し、それが日本の古代文書の成立にどのような影響に与えたのかを考察する。その上で、日本中世の書状様式の公文書が成立する過程を見通したい。