研究課題/領域番号 |
23K00848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
小林 和幸 青山学院大学, 文学部, 教授 (00211904)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 貴族院 / 選挙 / 華族 / 多角納税者議員 / 貴族院改革論 / 帝国議会 / 多額納税者議員 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、貴族院の議員選出制度を実証的に研究するものである。伯子男爵議員選挙につき、その制度形成、選挙母体の結成と選挙母体同士の競争過程、選挙による貴族院内会派の性格の推移を解明する。また、多額納税者議員の互選制度についても制度的特徴と歴史的推移を検討する。あわせて、貴族院議員選出制度の改革論議についても分析する。 本研究を通じて、貴族院議員は、何を「代表」することを期待され、実際に何を代表したのかを論ずる。これにより、従来、「立憲政治の阻害者」と位置づけられてきた貴族院を再評価し、新しい貴族院像を示すとともに、我が国の二院制議会政治の歴史的役割を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は、帝国議会貴族院の構成者である伯子男爵議員ならびに多額納税者議員の選出について検討分析し、貴族院内政治会派の特質を研究解明するものである。 2023年度は、下記のように研究を進めた。まず、編著『葛藤と模索の明治』(有志舎刊)の掲載論文「明治期の貴族院改革論」において貴族院議員の谷干城や曾我祐準らの貴族院改革論とりわけ伯・子・男爵議員選挙制度の改革論に注目して、完全連記制への批判や改善策の模索過程を明らかにした。また本書の掲載論文全体の書評研究会を実施して研究成果の振り返りと今後の研究推進方法を検討した。 また、香川県の多額納税者の鎌田勝太郎について関係文書を調査整理し、資料目録ならびに解題や論文を掲載した『鎌田勝太郎とその資料』(鎌田共済会郷土博物館刊)を刊行した。本書では、「鎌田勝太郎関係文書」の資料一つ一つの概要や史料翻刻紹介を掲載したものであり、鎌田勝太郎関係文書の特徴を明らかにして今後の貴族院多額納税者議員研究に資するものである。また、同書に掲載した論文では、政治家としての鎌田の活動を詳細に論じ、多額納税者議員の互選制度を検討するとともに、その貴族院改革論の特徴も明らかにした。この成果についても研究会を開催して、明治史研究者からの批評を受け、今後の研究推進の方法を考えることが出来た。 さらに、海軍大臣や首相などをつとめた斎藤実の関係資料につき、岩手県の斎藤實記念館で調査収集し、今後の研究資料とし、また参議院文書課所蔵の憲政資料中の貴族院関係資料の調査ならびに男爵議員の社交倶楽部の後継団体である昭和会館での調査も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、香川県坂出市鎌田共済会郷土博物館、岩手県奥州市斎藤実記念館などの地方所在機関での調査、参議院、昭和会館その他の史料所蔵機関において、順調に資料調査を行い、その成果を、編著『葛藤と模索の明治』(有志舎刊)の掲載論文「明治期の貴族院改革論」ならびに単著『鎌田勝太郎とその資料』で公刊できたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、2023年度の成果を踏まえ、以下の通り研究を進める。 まず、伯子男爵議員選挙についての研究を進展させるために、この選挙制度改革に意欲的であった曾我祐準の人物研究を重点的に行う。曾我の関係史料収集を行って貴族院議員としての政治活動をまとめ、論文執筆を進める。また、戦前の子爵議員選挙母体の「尚友会」の流れをくむ「尚友倶楽部」の関連史料を検討して、尚友倶楽部などが行った旧貴族院議員の回顧録を分析すると共に、研究資料を多くの研究者と共有するために、その出版計画を進める。多額納税者議員の互選制度については、これまで収集した史料を基に、選挙制度の事態を解明することとし、特に岐阜県選出の多額納税者議員早川周蔵関係文書の主要政治関係史料につき翻刻刊行の準備を行う予定。帝国学士院互選議員についても、井上哲次郎関係資料などを調査して検討する。 さらに、参議院事務局が所蔵する貴族院改革関係史料を調査検討して、貴族院会派ならびに貴族院制度の改革問題を子細に検討する。 上記の研究を進展させるために、研究会を開催して、研究者からの参考意見を聴取する機会を設けることとする予定である。
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