研究課題/領域番号 |
23K00851
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
鈴木 正信 成城大学, 文芸学部, 准教授 (30538335)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 国造 / 屯倉 / 部民 / 大和王権 / 地方支配制度 / 古代史 |
研究開始時の研究の概要 |
国造制は王権が各地の有力氏族を国造に任命してそのクニの支配権を保障し、労働力・軍事力・物資等を提供させる制度である。一方、屯倉は政治的・軍事的拠点、あるいは貢納奉仕の拠点であり、王権による地方支配の中核として機能したが、その実態はいまなお不明な点が多い。本研究では、出土文字資料に注目するとともに、官衙遺跡の発掘調査の進展や歴史地名データベースの公開等を踏まえ、屯倉に関する情報を網羅的に収集する。そして、複数の屯倉を取り上げて、その所在地・機能・経営実態等を再検討することで、国造制と屯倉制が具体的にどのように連動しながら、ヤマト王権の地方支配制度として有機的に機能したのかを総合的に考察する。
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研究実績の概要 |
国造制と屯倉制は、6~7世紀に大和王権が実施した地方支配制度の中核をなすものである。二つの制度は密接に連動していたと言われるが、屯倉の実態は不明なものが多く、そのことが両者の関係性を把握するための障碍となっていた。本研究では、屯倉に関する情報を網羅的に収集して史料集・データベース等を作成し、複数の屯倉を取り上げて所在地・機能・経営実態を再検討することで、国造制と屯倉制が王権の地方支配制度としてどのように有機的に機能したのかを総合的に考察する。かかる視点から、2023年度には以下の項目を実施した。(1)編纂史料や古文書から、国造・屯倉に関する記事を収集した。編纂史料は『古事記』『日本書紀』『風土記』『先代旧事本紀』『新撰姓氏録』『和名類聚抄』等、古文書は『大日本古文書』等を対象とした。作業は刊本や注釈書の総めくりに加えて、「奈良時代古文書フルテキストデータベース」(東京大学史料編纂所)等を利用して行った。(2)調査報告書から、国造・屯倉に関係する出土文字資料を収集した。『飛鳥藤原京木簡』『藤原宮木簡』『平城宮木簡』『平城京木簡』『木簡研究』『日本古代木簡選』『評制下荷札木簡集成』等を対象とした。作業は報告書の総めくりのほか、「木簡庫」(奈良文化財研究所)等を利用して行った。(3)以上で収集した史資料を整理し、史料集・データベースの基礎となるテキストデータを作成した。(4)以上の作業過程における考察結果を踏まえて、単著1冊、編著1冊、論文1本を執筆し、学会報告を4回(うち招待講演を2回)行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、①史料・文献の収集 ②史料集・データベース等の作成を計画した。このうち①については、(1)編纂史料や古文書から国造・屯倉に関する記事を収集し、(2)調査報告書から国造・屯倉に関係する出土文字資料を収集した。また②については、(3)収集した史資料を整理し、史料集・データベースの基礎となるテキストデータを作成した。さらに、(4)これらの作業を踏まえて、単著1冊、編著1冊、論文1本を執筆し、学会報告を4回(うち招待講演を2回)行った。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には、近年の屯倉制研究の動向を改めて整理し、現状と課題を明確化する。また、2023年度に収集した史資料を活用するとともに、残存史料が比較的豊富な屯倉を複数選定して、その所在地・機能・経営実態について検討を行う。現在のところ、武蔵国に設置された横渟・橘花・多氷・倉樔の屯倉を取り上げる予定である。2025年度には本研究課題の総括として、国造制と屯倉制の関係を検討する。屯倉の経営には、国造の下で地方伴造が関与した例、国造の下で県主が関与した例、複数の国造が経営に関与した例、天皇・中央豪族・地方豪族が重層的に関与した例、中央豪族が直接的に屯倉を経営した例、中央と関係を持つ地方伴造が国造を介さずに屯倉を経営した例等、いくつかのパターンが確認される。こうした屯倉の多様性に注目しながら、国造制と屯倉制が王権の地方支配制度としてどのように有機的に機能したのかを総合的に考察する。研究成果は研究会等で報告し、そこで得られた知見を含めて著書・論文を執筆して刊行する。
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