研究課題/領域番号 |
23K00854
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
丸島 和洋 東京都市大学, 共通教育部, 准教授 (10599640)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 有馬氏 / 大村氏 / 戦国大名 / 国衆 / 古文書学 / キリシタン / 西郷氏 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の戦国大名研究は、家臣や、大名に従うミニチュア戦国大名である「国衆」の側から、大名権力を位置づける方向で進められている。その過程で個々の大名研究は深化したが、戦国大名を総合的に論じる機運はあまり高くない。その背景には、戦国大名の文書を対象とする「古文書学」が、鎌倉時代などと比較するとまだ不十分という問題があると思われる。 本研究では、肥前西部(長崎県)の大名である有馬氏関係古文書について、服属国衆まで含めて網羅的調査を行う。有馬氏という一大名の古文書を、様式・紙質など多角的に検討し、その特徴をひとつのモデルケースとして提示する。これは、戦国大名古文書学を構築する上での土台となるだろう。
|
研究実績の概要 |
本課題の中核は、肥前有馬氏にかかる古文書の現物調査を悉皆的に行うことで、特に有馬氏発給文書の形式的・紙質的特徴を分析し、戦国大名古文書学の一事例を提示することにある。 初年度の目標は、有馬氏およびその家臣団の関係文書の原本調査を可能な限り実施することであった。ただ、直接調査ができたのは、三重県神宮文庫および松阪市郷土資料館所蔵文書である。両機関所蔵文書は本来一体のものであり、両者の調査をほぼ終えることができた。後者での調査では、近世の回顧録であるため、『三重県史』資料編中世には採録されなかった古文書を新たに見出した。これにより、伊勢神宮と有馬氏のやりとりを、ほぼ復元できる。この調査には、研究協力者3名の同行を仰ぎ、作業の円滑化を図った。 調査に必要な機材として、ノートパソコンを1台購入するとともに(約8万円)、必須史料集であるが、品切れ状態にある『佐賀県史料集成』全30巻(約60万円)および『十六・七世紀イエズス会日本報告集』全15冊(約9万円)を古書購入した。 本科研申請書類において、新名一仁編『九州武将列伝』(戎光祥出版)に掲載予定の原稿「有馬晴信」を校正中のものとして載せた。ただ刊行が延びたことで、本科研の調査成果を部分的に反映させることができ、「有馬晴純・義貞・義純―西肥前の覇者の栄光と転落」「有馬晴信―「キリシタン大名」の実相」 の2論考として2023年に発表した(pp.230-262)。 現在は、2023年度の調査成果を論文としてまとめている最中である。神宮文庫の調査がほぼ終了したことで、有馬氏に従っていた西郷氏の古文書調査をほぼ終えることができた。花押の比較調査から西郷氏発給文書の年代を明らかにし、歴代の検討を行う予定である。この成果は、有馬氏の発給文書全体を検討する上で、最初のモデルケースとして、適切な規模といえるものと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は九州(長崎・佐賀県)および三重県を中心に、古文書原本調査に比重を置く予定であったが、三重県の神宮文庫・松阪市郷土資料館における調査がほぼ完了したに留まった。ただ、同調査は新たに研究協力者3名の助力を得ることができたため、極めて順調に進展した。 調査計画に狂いが生じた理由としては、1)計画していた個人所蔵文書の調査2件が、所蔵者側の事情で実施見込みが立たなかったこと、2)調査予定対象であった東海大学図書館が、改修工事の関係もあり、史料収蔵状況に詳しい人員が不在であったこと、3)勤務校で新たな役職に就任し、長期出張に割くことができる時間を確保できなかったこと、4)古書入手の予定であった史料集が在庫の関係で当初想定価格を大幅(約20万円)に超過し、旅費を圧迫したことなどがあげられる。 そのため、どちらかというと関係書籍の入手を優先する方向に切り替えることとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
もともと初年度に予定していた古文書調査に比重を置く。主たる調査先は、長崎・佐賀県および奈良県となる。また、調査資料を整理した結果、完遂していたと考えていた高野山(和歌山県)における古文書調査に写真撮影の不備がみつかった他、博物館収蔵文書の存在を見落としていたことが明らかになったため、高野山および都内の博物館を調査対象に加える。九州での調査においては、適宜現地の研究協力者に支援を仰ぐ。 最大の問題は、調査日程の確保と、個人所蔵文書の調査である。前者については、初年度で勤務校における現行業務のスケジュールが大方把握できたため、改善が見込まれる。問題は後者で、先方の都合次第であることに変わりはない。場合によっては最終年度に回すか、原本調査以外の代替手段を考える。
|