研究課題/領域番号 |
23K00856
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
曽我部 愛 相愛大学, 人文学部, 准教授 (50961786)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 参詣 / 女性 / 信仰 / 女院 / 日本中世史 |
研究開始時の研究の概要 |
中世における寺社参詣と女性との関わりについては、院政期に盛んとなった院の寺社参詣において、同行者の女院が二次的に言及されるのみであり、近年の王家研究における、女院が仏事主宰者の役割を担ったとする評価と乖離するものである。 本研究はそうした女院の寺社参詣はもちろん、中世の女性の寺社参詣に関する史料を網羅的に収集し、データベースを構築したうえで、その分析を通して中世の女性の寺社参詣の実態解明と特徴の抽出をはかることを目的とする。 中世の女性の寺社参詣は、現代においてもしばしば議論となる「女人禁制」の問題とも深く関わっており、本研究の成果をその問題解決に活用することも可能になると考える。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、中世の女性の寺社参詣に関する史料を網羅的に収集し、データベースを構築したうえで、その分析や同時期の男性の参詣との比較を通じて、中世の女性の寺社参詣の実態解明と特徴について、場所・期間・交通路、および参詣者の階層・地域性などの点について明らかにすることにある。 2023年度は、研究実施計画を踏まえて、院政期から鎌倉期を対象に女性の参詣に関わる史料の収集を進めた。具体的には、院政期から鎌倉期において「女性参詣者を代表する存在」である女院・皇女などの王家関係者の参詣の史料について、『大日本史料』第3編・4編・5編や、『中右記』『民経記』『明月記』などの日記史料を中心に、主に刊本史料集から事例の収集を行った。その結果、多くの女院・皇女などの参詣史料を抽出することができ、本研究の基礎作業である中世の女性の寺社参詣に関するデータベースに、テキストデータとして入力を完了させた。 また、院政期の女院が持つ2つの性格(①父や夫である院から独立した存在であり独自の所領(荘園)経営を行い、独自の家産を保持していたこと、②王家内部において追善仏事を主催する役割を担っていたこと)が、女院の積極的な寺社参詣を惹起したのではないかという想定のもと、王家における女院・皇女の存在形態について鎌倉期を通じて検討し、その成果を論文「中世前期王家の変容と再編」(『日本史研究』739号、2024年)として発表した。 ただし、2023年度に予定していた出張調査は、刊本史料集からの抽出作業に想定以上の時間を要したため、実施できなかった。次年度以降は、2023年度分を補いながら未翻刻史料の調査を実施することにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度である2023年度においては、院政期から鎌倉期を対象に刊本史料からの女性の参詣史料の抽出を行い、データベースへの入力作業を進めた。しかし想定以上に刊本史料からの抽出作業に時間を要したため、刊本史料の原本調査や未翻刻史料の調査など出張調査を行うことが出来なかった。これらの作業は次年度に実施することにしたい。 以上のことから、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、院政期から鎌倉期の史料収集作業において、一定の成果をあげ得たものと考える。その成果をうけて2024年度では、南北朝期から室町期を対象として、『大日本史料』や古記録等の刊本史料集を中心に、女性の寺社参詣に関する史料の抽出作業と整理・分類を継続しながら、データベースの充実化を目指したい。また、国立公文書館・東京大学史料編纂所等で史料調査を実施し、未翻刻史料を含めた関連史料の収集作業を進めていくことにしたい。 さらに、2023年度に得られた院政期から鎌倉期の女性の寺社参詣に関する情報をもとに、あわせて参詣ルート図も作成し、中世前期の寺社参詣に関する論考としてまとめたいと考える。
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