研究課題/領域番号 |
23K00874
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮内 肇 立命館大学, 文学部, 准教授 (10722762)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 1930年代 / 広東 / 固有文化 / 固有道徳 / 陳済棠 / 明徳社 / 近代中国 / 広東省 / 地方文化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1930年代の広東省の政治・社会の動態を明らかにしつつ、広東社会が中国固有の文化をいかにとらえ、社会建設や地域文化にどのように反映させていたのかを考察することにある。これは視点を変えれば、1930年代に地域社会に生きた人々が、中国文化と地域(広東)文化とをどのような関係として認識していたのかについて、地域の目線と論理に即してとらえることで、1930年代の広東省という地域社会の特質を解明することでもある。
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研究実績の概要 |
1920年代末から30年代半ばにかけて、中国国民党政権は内患外憂を克服すべく、党化政策・三民主義教育といった思想・文化の統制を展開する。その主旨は、1934年2月からの新生活運動や翌年1月の「中国本位的文化建設宣言」に象徴されるように、伝統中国の古典的理念と西洋近代の発展史観との融合により、中国固有の文化を創造することにあった。他方、こうした方針に対して、新文化運動の潮流のなかで、全面的な西洋化を主張する陳序経や胡適などによる文化論戦が展開される。 本研究では、こうした国民党による文化政策や言論界での文化論戦を、地域社会がどのようにとらえていたのかに着目する。具体的には、1930年代の広東社会に着目し、政治・社会の動態を明らかにしつつ、広東社会が中国固有の文化をいかにとらえ、社会建設や地域文化にどのように反映させていたのかを考察する。 本年度は、同時期に南京国民政府とは距離を取り続けた陳済棠政権(1929~1936年)が社会教育事業の一環として設立した明徳社に着目し、その活動の一端を解明した。具体的には、同社は広東復古運動のひとつとして、「固有の道徳」の創出を提唱したが、同政権はなぜ「固有の道徳」を必要としたのかを考察した。ひとつは、誰に対する「固有の道徳」かという問題である。学生、とりわけ文系学生の就職難のなかで、自己実現を重視するために家族・社会に対する意識に欠け、また、自大意識や学問に敬意を払えない学生に対し、家族・社会のなかで自己の役割を認識させるために「固有の道徳」の復興が必要であるとした。もうひとつは、孫文の革命精神を生んだ広東文化の地位向上のために、また、独裁を進める南京国民政府・国民党の影響下では真の文化を創出することはできず、広東こそが中国文化を創出することが可能であるという主張であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
収集した資料を予定通り読み進められていないため。
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今後の研究の推進方策 |
陳済棠政権に関する資料集、新聞史料、広東省政府公報、明徳社が発行した雑誌・『明徳週刊』・『新民』より、明徳社の活動および、同社が提唱した「固有の道徳」における伝統性を分析し、中国固有の文化のいかなる点に創造性・特徴があるのかを考察していく。
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