研究課題/領域番号 |
23K00887
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
馬場 多聞 立命館大学, 文学部, 准教授 (70756501)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | イエメン / インド洋 / 井堂 / 移動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、これまでの中世イスラーム世界史研究において繰り返し指摘されてきた人々の移動が広域にわたっていたという理解を統計的手法を援用して再検討し、その実態を解明するものである。具体的には、アラビア語で書かれた人名録の検討を通して、中世イエメンを出立する人々あるいは流入する人々の移動が有する地域性・時代性・空間的重層性を定性的・定量的に分析する。以上を通して、古来絶えることなく行われてきた人類の移動という世界史においてきわめて重要な事象について新たな地平を築く材料を再考することで提示したい。
|
研究実績の概要 |
本研究は、11-16世紀のイエメンで執筆された人名録をはじめとした諸史料の記述をもとに、中世のイエメンを介して移動する人々が有する地域性・時代性・空間的重層性を定性的・定量的に分析するものである。従前の研究では、イスラーム世界においては人々の移動の広域性を強調する一方で、その実際を統計的に研究したものは限られていた。これまでのように人々の移動性を過渡に一般化・抽象化するのではなく、イエメンを例としてより具体的に検討するところに、本研究の意義を見出す。具体的な作業としては、イエメンで書かれた諸史料に立項されている人物の「個人名」「部族名」「職業」「出身地」「所属法学派」「師」「移動先」「生年」「没年」「死亡地」をデータベース化し、ロジスティック回帰分析を用いるなどしてこれらのデータを定量的に分析し、どのような要因を持っている人がどのような移動を行っていたのかという点を明らかにする。 今年度は、必要な文献の収集ならびにデータの取得、定性的分析にもとづいた論考の執筆を行った。すなわち、15世紀に書かれた人名録と16世紀に書かれた人名録のうちこれまでに持っていなかった刊本を新たに入手し、研究に用いることができる状態とするとともに、それらに目を通し、記述状況の把握に努めた。加えて、14世紀のイエメンへ北東アフリカから至り、ラスール朝の体制内において高位に至った二人の人物について、年代記や人名録から生涯を再構成し、移動という事象が人々へ与える影響について考察した。この原稿については、2024-2025年度中に刊行される見込みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでのところ、おおむね順調に進展している。予定通り、必要となる文献の収集を行うことができた。また、定性的な分析にもとづいた論考の執筆を進めることもできた。一方で、収集した文献から記述を抽出する作業については、これからさらに力を入れていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに収集した文献に目を通し、必要な記述を抽出し、定量的分析を行うためにデータベース化を行う。現状の課題としては、不均一なデータが散見するために、網羅的なデータセットの作成に困難が生じている点が挙げられる。これについては十分に予見していたことであるため、①均一なデータをもとにした定量的分析を行う、②定性的分析によって定量的分析を行う、という二方面からのアプローチを行いたい。
|