研究課題/領域番号 |
23K00889
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏節 神戸女子大学, 文学部, 准教授 (10609374)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 突厥 / テュルク / モンゴル / 突厥碑文 / 突厥文字 / 遊牧民 / トルコ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、7世紀末葉から8世紀初頭にかけて建立された古代トルコ系遊牧民の文字史料を調査することを目的としている。当時のモンゴル高原はトルコ系遊牧民が活躍しており、彼ら独自の突厥文字で刻文された石碑、所謂「突厥碑文」が建立された。6世紀中葉から突厥という政権がモンゴリアを支配していたが、これら突厥碑文は第二王朝になってから建立されたものである。2022年度、第二王朝の初代君主のものと推測される石碑が新たに発見された。初代君主の碑文ということになれば、突厥文字で刻まれた古代トルコ語の歴史史料としては最古のものと推測される。本研究はモンゴル国に渡航し、これを現地調査することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究は、遊牧王権の持続性という観点から、突厥可汗国の形成過程をとりあげ、南北モンゴリアにおける勃興期の牧民支配を明らかにすることを目標にしている。その際重視するのは、遊牧国家における支配構造の実態であり、そして王権の求心力を維持した支配装置である。半世紀にわたる唐の羈縻支配を克服して独立した突厥第二可汗国は、いかにして突厥遺民の糾合を果たしたのか、を追究することを課題にしている。当該時代の遊牧民に残された史料には突厥碑文があり、これまで研究代表者はその読解を通じて、突厥の王権や部族構成について、そして碑文自体が支配装置であったことを実証してきた。 そうしたなか、2022年、モンゴル国アルハンガイ県ハシャート郡のノムゴン遺跡(ノムゴン第二遺跡)から3種の文字(突厥文字、ソグド文字、ブラーフミー文字)で刻まれた碑文が発見された。この碑文はカザフスタンの国際テュルク・アカデミーとモンゴル国のモンゴル科学アカデミー考古学研究所の合同発掘調査によって発見、報告されたものである。7世紀後半から8世紀中葉にかけてモンゴル高原を中心に活動した突厥第二可汗国の初代可汗の名前がその碑文テキスト(突厥文字・テュルク語とソグド文字・ソグド語)に確認されたことで、学会で大きな話題になった。そこで、研究代表者はこの碑文の読解と遺跡などの現地調査を通じて、第二可汗国の成立過程を解き明かすべく、本研究を開始したのである。 2023(令和5)年度は国際モンゴル学者会議において口頭報告を実施し、本研究のテーマである突厥第二可汗国の部族連合について近年の研究成果を概観した。この国際会議においては、上記ノムゴン遺跡の発掘調査に参加した研究者から情報収集をすることもできた。2024(令和6)年度あるいは2025(令和7)年度に現地調査が実施できるように現在、現地研究機関と連絡調整をはかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は夏期にモンゴル国に渡航し、アルハンガイ県ハシャート郡のノムゴン遺跡の景観調査やそこから出土した碑文の実見調査に着手するはずであった。ところが、カザフスタンならびにモンゴル国の研究者から調査許可がおりず、また碑文を検分することもかなわなかったため、現地調査を断念せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
モンゴル国の科学アカデミー考古学研究所と連絡をとりつつ、引き続きノムゴン遺跡の調査研究が可能になるべく交渉をおこなう。また、第二可汗国成立、建国過程を考察できるその他の遺跡において現地調査ができるように準備をすすめる。文献史料については、発掘報告書などの収集をはかり、現地調査が実現された際に即応できるようにする。
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