研究課題
基盤研究(C)
本研究は、大航海時代の戦争タペストリーを取り上げ、大航海時代における心性史の再構築をめざす。大航海時代を先駆したポルトガル・スペインは海上拡大の画期とみなされた戦役の成果を莫大な経費をかけてタペストリーに描かせ、内外にその栄光を喧伝せしめた。政治的プロパガンダ・ツールとしてタペストリーを位置づける先行研究は内外においてみられるが、本研究では、戦争タペストリーのなかに独自の「自他像」の表出や変遷を見いだすことに力点をおく。すなわち、戦士階級によって共有された軍事的政治文化の表徴を読み取ること、そして「オリエンタリズム」以前のアンビバレントな他者認識の展開をたどること、以上2点を課題とする。