研究課題/領域番号 |
23K00895
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
合田 昌史 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (60202074)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 大航海時代 / タペストリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大航海時代の戦争タペストリーを取り上げ、大航海時代における心性史の再構築をめざす。大航海時代を先駆したポルトガル・スペインは海上拡大の画期とみなされた戦役の成果を莫大な経費をかけてタペストリーに描かせ、内外にその栄光を喧伝せしめた。政治的プロパガンダ・ツールとしてタペストリーを位置づける先行研究は内外においてみられるが、本研究では、戦争タペストリーのなかに独自の「自他像」の表出や変遷を見いだすことに力点をおく。すなわち、戦士階級によって共有された軍事的政治文化の表徴を読み取ること、そして「オリエンタリズム」以前のアンビバレントな他者認識の展開をたどること、以上2点を課題とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、大航海時代の3つの戦争タペストリーシリーズのなかに「自他像」の表出と変遷を見いだすことにある。とくに5年度はポルトガル領インド総督ジョアン・デ・カストロによるインド西岸の戦勝(1546~47年)を描いた『ジョアン・デ・カストロの勝利と凱旋』10編(ブリュッセル、1560年頃、ウィーン美術史博物館所蔵)に関する研究を進めた。まず、研究の前提として主要な先行研究の収集と読解を行った。1993年に所蔵先のウィーンで出版された図録と1995年にリスボンで出版された図録を入手し、それらに収録された諸論考を読み込んだ。これらは現在でも同タペストリーシリーズに関する研究の必須文献である。近年では歴史家セルジオ・マスカレーニャス・デ・アルメイダによる研究が傑出している。そこで、アルメイダによる2編の専攻論文(2012年、2016年)をとりよせ、読み込んだ。 同シリーズの解読にはシリーズが描く戦役とその背景に関する知識が必要である。そこで、同戦役の中心であったジョアン・デ・カストロに関する史料集成(4巻、コインブラ、1968~81年)を取り寄せ、読み込んだ。また、戦役の背景を理解するにはポルトガル領インドとグジャラートなどインド西部諸国との関係性を把握する必要がある。そこで、K.S.マチューの『ポルトガルとグジャラート・スルタナート』(1986年)とD.サルガオンカルの『ゴア、果てのないアパランタ』(2008年)などを入手し、読み込んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、夏季休暇を利用して。『ジョアン・デ・カストロの勝利と凱旋』10編を所蔵するウィーン美術史博物館に出張してタペストリーの調査を行う予定であった。しかし、8月に前立腺手術・入院を余儀なくされ、9月には新型コロナに罹患して静養した。また。3月には定年退職に伴う身辺整理に忙殺された。そのため5年度中の海外出張を断念し、文献研究に専念することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
5年度に果たせなかったウィーンへの出張で、タペストリーの調査を行い、やや遅れ気味の研究の進捗を図る。また、可能であれば、ポルトガル王アフォンソ5世のモロッコ遠征(1471年)を描いた『アシラー・タンジール征服」』4編の所蔵先であるスペインのパストラーナ博物館、あるいは皇帝カール5世のチュニス遠征(1535年)を描いた『チュニス征服』12編の所蔵先であるマドリード王宮へ出向いて調査したい。
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