研究課題/領域番号 |
23K00902
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
澤田 典子 千葉大学, 教育学部, 教授 (50311650)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | マケドニア / 文化的記憶 / エスニック・アイデンティティ / アレクサンドロス1世 / ヘロドトス / フィリッポス2世 / アレクサンドロス大王 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、マケドニア王フィリッポス2世によるギリシア征服とアレクサンドロス大王(3世)によるペルシア遠征という2つの事象を、マケドニア史の連続性という観点から、マケドニアの「文化的記憶」を軸に読み解くことをめざす。具体的には、前5世紀前半のアレクサンドロス1世以降のマケドニア王たちはどのように自らの「過去」を想起し、いかなるアイデンティティを構築したのかを明らかにしたうえで、そうした「文化的記憶」がマケドニアのギリシア世界への参入とフィリッポス2世によるギリシア征服とペルシア遠征計画、さらにはアレクサンドロス大王によるペルシア遠征においてどのような役割を果たしたのかを検討する。
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研究実績の概要 |
今年度は、マケドニア王フィリッポス2世によるギリシア征服とアレクサンドロス大王(3世)によるペルシア遠征という2つの歴史事象を、マケドニア史の連続性という観点から、マケドニア王国の「文化的記憶」を軸として考察するという研究目的のため、まず、その基礎作業として、「集合的記憶」「文化的記憶」というパラダイムをめぐる論点の整理を行ない、これらのコンセプトをマケドニア史研究に応用することの妥当性を検証した。さらに、19世紀以来のマケドニア史研究における大きな論争点となっている「マケドニア人はギリシア人か」というマケドニア人のエスニック・アイデンティティをめぐる問題について、多岐にわたる論点の整理を行ない、本研究で注目するマケドニア王による「過去」の表象や「記憶」の操作という観点からこの問題にアプローチすることの有効性を検証した。また、来年度から本格的に取り組んでいく予定のアレクサンドロス1世による「過去」の表象についての検討にも着手した。マケドニア王国に関する具体的な情報が得られるようになるのは前5世紀前半のアレクサンドロス1世の治世からであり、その主要史料となるヘロドトスの記述の分析に基づいて、アレクサンドロス1世が自らの「過去」をどのように想起していかなるアイデンティティを構築したのか、そして、彼はなぜそのような「過去」を想起したのか、という本研究課題の核の一つとなる問いについての考察を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の交付申請書に記した、「集合的記憶」「文化的記憶」というパラダイムをめぐる論点の整理・検討、およびマケドニア人のエスニック・アイデンティティについての多岐にわたる論点の整理・検討という課題に取り組み、一定の成果を挙げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度行なった「集合的記憶」「文化的記憶」とマケドニア人のエスニック・アイデンティティについての論点整理を踏まえて、アレクサンドロス1世による「過去」の表象の検討という課題に本格的に取り組んでいく。さらに、そうしたアレクサンドロス1世による「過去」の表象や「記憶」の操作が、それ以降どのように継承され、マケドニア王国の発展とフィリッポス2世のギリシア征服においてどのような役割を果たしたのか、そして、フィリッポス2世は「過去」や「記憶」をどのように活用したのかという問題についての検討にも着手する。
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