研究課題/領域番号 |
23K00914
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
守屋 豊人 北海道大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教 (60396273)
|
研究分担者 |
佐野 雄三 北海道大学, 農学研究院, 教授 (90226043)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | トビニタイ文化 / 擦文文化 / 約10世紀 / 北海道 / 焼失住居址 / 樹種同定 / 部材認定 / 年代測定 / トビニタイ文化前半 / 樹種選択利用 / 遺跡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、北海道東部のトビニタイ文化前半(約10世紀)における、上屋が焼失した竪穴住居址(焼失住居址と呼称)を対象として、その遺構から炭化して発見された垂木、梁、棟、柱などの建築部材にどのような樹種が選択利用されたのかを明らかにすることである。トビニタイ文化の分布域と擦文文化後半の分布域が交差していた元町2遺跡の焼失住居址を分析することで、同一の古環境での樹種選択利用の異同が相異なる文化で存在したかが明らかにできる。併せて、トビニタイ文化の分析を上屋構造の理解および樹種選択利用の観点から実施することで、アイヌ文化期(約14世紀から約18世紀)の住まいへの変遷を理解する基礎研究とする。
|
研究実績の概要 |
令和5年度では、北海道美幌町元町2遺跡および余市町八幡山遺跡で確認された焼失住居址を分析した。元町2遺跡では、焼失住居址4基(H-17、H-37、H-38、H-40と呼称)で発見された炭化材を樹種同定した。八幡山遺跡では、焼失住居址1基(SH1と呼称)および竪穴住居址2基(SH2、SH3と呼称)の各カマドで発見された炭化材を樹種同定した。両遺跡の焼失住居址で確認された炭化材について、発掘調査時の記録を確認することによって、炭化材の軸方向、木取りを把握した。さらに、両遺跡で発見された炭化材の発見状態の把握とともに、建築学的な視点から、炭化材がどの建築部材(垂木、棟木、梁など)に位置づけられるかを推測した。建築部材としての位置づけは継続中である。 元町2遺跡において、以下の樹種同定結果が得られた。H-17では103点を樹種同定し、約7割がトネリコ属であるとわかった。H-37では、24点を樹種同定し、オニグルミ、キハダが多用されているとわかった。H-38では24点を樹種同定し、トネリコ属、ヤナギ属、ハシドイなどの広葉樹(約10種類)が利用されているとわかった。H-40では56点を樹種同定して、キハダ、イヌエンジュなどの広葉樹(約11種類)が利用されているとわかった。 八幡山遺跡おいて、以下の樹種同定結果が得られた。SH1では16点を樹種同定し、約8割がトネリコ属であった。SH2、SH3のカマド周辺で発見された炭化材は、ヤナギ属が約7割との結果であった。 元町2遺跡H-17、H-37、H-38、H-40、八幡山遺跡SH1では、放射性炭素年代測定を実施した。焼失住居址で確認された炭化材を年代測定した結果、すべて、約10世紀の年代値が得られた。H-17、H-37、H-38、H-40では、発掘調査時の所見と帰属時期で整合性がみられ、SH1では、帰属時期が新たに推定できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年では、計画として示した焼失住居址総計12基の内、計5基を分析した。当初の計画通りの分析ができた。その一方で、令和6年度に実施予定の分析試料を準備することが、出張日に体調不良という状態となったため、できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度では、美幌町元町2遺跡で確認された焼失住居址5基を取り上げ、分析試料である炭化材のサンプル採取、樹種同定の実施、部材推定を行う予定である。 また、焼失住居址で確認された炭化材を対象として、放射性炭素年代測定を実施する。発掘調査時に確認された遺物が各焼失住居址で少なかったことから、各遺構の時期に不明な点がある。帰属時期を判断する材料としたい。
|