研究課題/領域番号 |
23K00923
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | くらしき作陽大学 |
研究代表者 |
澤田 秀実 くらしき作陽大学, 音楽学部, 教授 (40264577)
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研究分担者 |
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50205663)
長柄 毅一 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (60443420)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 銅鉛原材料 / 産地同定 / 鉛同位体比分析 / 蛍光X線分析 / 画文帯神獣鏡 / 旋回式神獣鏡 / 銅鈴 / 古墳時代後期前半 / 古墳時代中期末から後期 / 青銅器 / 銅鉛原材料産出地同定 / 学際的研究 / 外交政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、6世紀末葉の出雲半島を産出地とする国産原材料の使用開始時期を明らかにした2017から2021年度の科研基盤研究(C)「日本列島における銅、鉛原材料の産出地同定と使用開始年代に関する学際的研究」(JSPS科研費17K03224)を発展的に継承するもので、5世紀末葉から6世紀前半代(古墳時代中期末から後期前半代)にかけての青銅器や青銅原材料の輸入実態の解明によって往時の外交関係とそれを主導した王権構造を明らかにし、外交関係から日本列島における古代国家形成過程を追究するものである。
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研究実績の概要 |
23年度は、まず古墳時代後期前半代(5世紀末から6世紀前半)の青銅製品のうち、通時的に存在し、型式学的位置づけが明らかになっている舶来品(画文帯神獣鏡)と国内産(旋回式獣帯鏡、銅鈴)を選定し、既存の鉛同位体比分析値の収集をおこなった。また、未分析資料のピックアップもおこない、23年度は岡山県内の資料(真庭市四ツ塚13号墳出土・旋回式獣帯鏡、総社市江崎古墳出土・旋回式獣帯鏡、倉敷市二万大塚古墳出土・銅鈴)など10数点の理化学的分析(蛍光X線分析・長柄毅一担当、鉛同位体比分析・齋藤努担当)、考古学的調査(肉眼観察による形態分類、製作技法の復元、法量確認など・澤田担当)をおこなった。また、今後、理化学的分析が可能かどうか、東京国立博物館、明治大学博物館、松戸市博物館、かすみがうら市歴史博物館、向日市文化資料館、川西市文財資料館、黒川古文化研究所、高槻市今城塚歴史館、はだの市立歴史博物館にて、関連資料を予備調査として実見、見学した。また、当該期の資料の編年的研究の現状把握のために中国四国前方後円墳研究会に参加したほか、東北大学金属材料研究所『人文科学と材料科学が紡ぐ新知創造学際ハブ』公開ミーティングに参加し、あらたな銅鉛原材料産出地の同定方法について意見交換した。 これらに加えて23年度は既存の鉛同位体比分析値の解析にも努め、齋藤努が指摘した百済領域に分析値が集中する傾向を認めた。この領域は従来の中国華南領域の中にあるので、その峻別が今後の課題となったが、5世紀末から6世紀前半代の青銅製品に列島産、新羅産の原材料の使用が認められず、列島および新羅領域での銅鉱山開発が6世紀後半代以降である可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由として、第一に既存の理化学的分析データが思いのほか多く、初年度で大方の傾向性が掴めたこと、第二に古墳時代後期前半とする5世紀末から6世紀前半に通時的に存在し、型式学的変遷が追える資料として画文帯神獣鏡、旋回式獣帯鏡、銅鈴などを見出すことができ、身近な岡山県内出土資料の理化学的調査に着手できたことが挙げられる。また、東北大学金属材料研究所『人文科学と材料科学が紡ぐ新知創造学際ハブ 公開ミーティングに参加したことで、新たな分析方法による産出地同定方法導入への契機ができたほか、分析対象資料についても、新たな展望を見出せたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
24年度以降は、引き続き画文帯神獣鏡、旋回式獣帯鏡、銅鈴の理化学的調査、考古学的調査を推進し、基礎的データの蓄積に努めるほか、23年度に分析、調査した資料の分析結果を加え、既存データの解析で得られた傾向性の検証をおこなう。また、23年度の調査研究成果を関連研究会にて発表するなど、研究成果の公開にも努める予定である。
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