研究課題/領域番号 |
23K00964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
芳賀 文絵 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 研究員 (80754530)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 収蔵庫 / 文化財保存 / 保存環境 / 文化財一時保管施設 / 温湿度 / 廃校 / 文化財保存環境 |
研究開始時の研究の概要 |
文化財収蔵を目的としない一般室の環境とそこに収蔵される文化財資料が持つ、それぞれのリスクと限界を明らかにすることで、緩やかな環境制御を行うためのガイドラインを得ることを目的とする。本研究では①一般室における保存環境の温湿度特徴の“見える化”、②保管環境の文化財資料に対する影響評価を行い、③一般室の保存環境に適した資料保存方法のあり方について明らかにする。このことにより、文化財所有者や施設管理者によって理解しやすい指針を得、一般室における文化財資料保存のリスク軽減となることを目指す。
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研究実績の概要 |
災害により被災した文化財を、一時的に文化財収蔵を目的としない建物や部屋(一般室)に保管する場合、通常の博物館、美術館等施設と異なり、厳密な温湿度等の保存環境管理が困難である。これらの一般室では、どこまでの温湿度値、変動を許容できるのかを明らかにした上で、文化財の管理者が現実的に実現可能な緩やかな環境制御により、必要十分な文化財収蔵環境を達成することが望ましいと考えられる。本研究は、文化財収蔵を目的としない一般室の環境と被災文化財資料、それぞれのリスクを明らかにすることで、被災文化財の状態と運営環境に見合った緩やかな環境制御を行うためのガイドラインを得ることを目的とする。 1.廃校等を利用した文化財収蔵庫の環境調査 文化財収蔵を目的としない建物や部屋(一般室)の環境特性を把握するために、今年度は廃校を利用した文化財収蔵庫の環境調査を実施した。一般室内の温湿度を多点同時実測することにより、梅雨時期、夏季、冬季の代表時期における室の温度、湿度分布を把握した。特に1年目は単純な学校教室を収蔵室として運営している室を対象とし、室内の3次元的な全体の温湿度分布の計測、また複数の廃校利用文化財収蔵庫の調査を通して、学校施設の温湿度特性を包括的に把握しようと試みている。また、空調がない収蔵環境における環境構築を検討するためにモデル空間を作製し、そこに木質材料を設置した場合の温湿度挙動について調査し、それらの実験結果について報告を行っている。 2.被災文化財の保存に関する調査 被災文化財の保存について検証するために、まずその被災資料からの揮発成分を調査し、その現状を正確に把握することを試みている。調査においては、川崎市市民ミュージアムのご協力をいただき、紙資料文書からの揮発成分調査を継続的に実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の予定通り、文化財収蔵庫の環境調査および被災文化財の保存に関する調査を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
文化財収蔵庫の環境調査については、温度湿度に偏りやムラがある空間を対象に計測器を重点的に設置し、代表点との比較を行うことで局所的空間の温湿度傾向を計測する。また、同等の教室の収蔵室を対象として、窓の断熱や除湿器の導入などの室内環境変化に対する、それぞれの温湿度環境への影響の把握を行う。
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