研究課題/領域番号 |
23K00968
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 滋賀県立琵琶湖博物館 |
研究代表者 |
金尾 滋史 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 専門学芸員 (70618321)
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研究分担者 |
横川 昌史 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 学芸員 (30649794)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 自然史系博物館 / レファレンス / 質問 / 博物館機能 / 自然史情報 / 利用者 / 博物館 / レファレンス機能 / 市民科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、博物館のレファレンス機能に科学的な価値づけを行うことで、図書館や公文書館とは異なる機能とその価値を見出すことを目的とする。主に自然史系博物館を対象とし、①全国各地の博物館におけるレファレンスサービスの実態、②すでに情報が蓄積されている自然史系博物館におけるレファレンス対応の傾向、③博物館のレファレンス対応に含まれていた科学的知見についてそれぞれデータを集積し、分析することで、博物館固有のレファレンス機能の発掘と発展、そして社会的浸透を広げるとともに、レファレンス機能のもつ科学的価値、それらを収集する博物館学的な意義を広め、市民のサイエンスリテラシーの底上げを図る。
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研究実績の概要 |
本年度は研究開始初年度であったが、研究代表者が体調不良によって長期休養に入ったため、当初予定していた計画を十分に遂行することができなかった。そのような制限下で、2023年度は下記の項目を実施した。 1.全国各地の自然史系博物館ではどのようなレファレンスサービスを行っているのか:初期調査として、学芸員同士で交流のある国内13館での情報収集を行った。その結果、想定以上に、各館でのレファレンスの対応手段や集約の方法が異なっていることが明らかとなった。今後はより多くの館の情報を集め、分類を行う予定である。 2.滋賀県立琵琶湖博物館および大阪市立自然史博物館における年間のレファレンス対応の傾向と分析:滋賀県立琵琶湖博物館における2021年度および2022年度の質問コーナー対応および質問メールを整理した。2021年度の質問コーナーは805件、メールによる専門的な内容を含む質問は116件、2022年度の質問コーナーは1005件、メールによる専門的な内容を含む質問は127件であった。質問の50%以上は生物関係であり、これは他都道府県に比べ、県内に生物系の質問に対応できる機関が少ないという地理的条件が含まれていることが推察された。また、大阪市立自然史博物館に届いた過去20年分の質問メールの仕分け作業を行った。メールの保存形式が当初想定していたものよりも複雑であったため、その整形作業に想定よりも多くの時間がかかっている。今後は、両館の質問を統合・解析しやすくするよう入力の共通フォーマットを検討する。 3.これまで博物館に寄せられたレファレンス対応にどのような科学的知見が含まれており、発表されてきたのか?:博物館が発行している研究報告や紀要、地域の自然に関する雑誌、インターネット上の記事を調査し、文献情報を35件得た。また、琵琶湖博物館に届いた質問が起点となった研究成果について、2件の報文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は研究開始初年度ではあったが、研究代表者が体調不良によって長期休養に入ったため、当初予定を行っていた計画を十分に遂行することができていない。特に、各地へのヒアリング調査は長期休養により実施することができず、必要な情報の収集はインターネット上や電話などでの収集に限られた。 またデータ入力に関しても過去の膨大なデータの入力に関して研究補助を付けた作業が進行できなかったことと、入力を進めている作業についてはデータが想定以上に膨大であり、集約のための仕分け作業に時間を要している。 これらのことから2023年度に行うべきであった計画のうち、約20~30%程度の進捗状況と判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年6月より研究代表者が職場復帰をする予定となっており、2023年度に実施できていなかった各館へのヒアリング調査、入力作業を2024年度の計画を加味しながら実施する。 2023年度の調査によって少数の自然史系博物館間でもレファレンス対応やその集約方法に異なりが明らかになったため、博物館のホームページや年報などによって各館のレファレンスの状況について一定の整理・類型化を図るための作業を先行して行ない、その後にヒアリング調査を実施する。このほか、他館学芸員の協力を得て、訪問できない館についてはアンケートが実施できるよう、アンケートフォームの検討を行う。これらにより、遅れていた園館のレファレンスに関する情報収集について効率化を図る。 滋賀県立琵琶湖博物館と大阪市立自然史博物館における過去の質問についてはそれぞれ整理作業を行なっているが、保存形式の複雑化に対応できるよう、文字認識機能や機械学習も活用して整理を行う。また、現在、データの入力に際する共通フォーマットの検討を行っており、フォーマットが定まり次第、整理した内容の入力を開始する。 このほか、2024年度以降もレファレンス対応が基となって明らかになった自然史情報について、特に博物館が出版している研究紀要や地方の自然誌に関する雑誌、文献、新聞記事などを調査し、さらに各博物館の学芸員からへも情報提供を求めて、レファレンス対応から発展した科学的知見への情報を整理する。
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