研究課題
基盤研究(C)
本研究は米軍統治下の琉球列島における,統治者(米軍・米兵)と被統治者(琉球住民)との間で行使された「暴力」に着目する.「暴力」は構造的な性質を含むが,1945年から72年までの米軍統治のもとで,多様な主体が行使する直接的「暴力」の事例は数多ある.本研究の対象は,米軍による女性の身体管理と性暴力,琉球警察によるデモ隊阻止,タクシー運転手による対米兵傷害事件,そして米兵間・琉米間の人種対立である.本研究はこれらの具体的「暴力」をその性質と発生場所から分類し,その時空間構造,発生のメカニズム,そして政治社会的意味を把握した上で,独自の地理学的視角から構造的「暴力」を照らし返す.