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国民国家を超えた非正規移民の人権保護に関する地理学的研究―日欧の事例にみる可能性

研究課題

研究課題/領域番号 23K01006
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分04020:人文地理学関連
研究機関明治大学

研究代表者

荒又 美陽  明治大学, 文学部, 専任教授 (60409810)

研究分担者 内藤 正典  同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (10155640)
中澤 高志  明治大学, 経営学部, 専任教授 (70404358)
佐藤 香寿実  芝浦工業大学, 建築学部, 講師 (90897539)
三浦 尚子  お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 特別研究員 (90951046)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード移民 / 非正規 / イスラム / 日本 / 人権 / フランス / トルコ / ヨーロッパ
研究開始時の研究の概要

21世紀に入るころから、第二次大戦後に作られてきたさまざまな制度の限界が見え始めている。難民の受け入れに関する思想と制度は、その最たるものである。圧政や失政、また紛争によって住まいを追われる人びとの数は増える一方、各国の受け入れは困難の度を増している。問題の背後には、難民を受け入れるのがあくまで国民国家であるという制度的限界がある。本研究は、ヨーロッパと日本の実践を出発点として、地理学的な観点から移民・難民の人権保護のための新しい思想を見極めていく。

研究実績の概要

本研究は、2020-2022年度の挑戦的萌芽研究「EU域外国境管理と移民保護の思想と実践―欧州委員会、Frontex、受入施設」において深化させてきた非正規移民の問題とその人権保護のための日欧における思想的基盤をつかむことを目的としている。双方の地域における問題の一つに異文化への無理解と排除があり、共通点としてイスラムがある。ヨーロッパでのイスラモフォビアは知られてきたが、近年は日本においても見られるようになっており、今年度はその問題を中心に研究組織のそれぞれが取り組んだ。
具体的には、ヨーロッパのイスラモフォビアを扱ってきた内藤が本の執筆や講演を行ったほか、近年、排外主義の現場となっている西川口のいわゆる「ワラビスタン」において、三浦がクルド移民の支援の現場の調査を行った。また、中澤の研究フィールドである大分に三浦、佐藤、荒又が訪問し、立命館アジア太平洋大学によるステューデンティフィケーション、イスラム墓地の建設反対の動きと、それが出来るまでムスリムの埋葬を引き受けているキリスト教団体、また現地で粘り強く運動を続けるモスクの活動を見学した。佐藤はこれまでフランスにおいて政教分離の一つであるライシテの厳格化と宗教の多源性の問題を研究してきたため、その観点からの日仏比較に取り組み始めた。
荒又は、前科研研究におけるヨーロッパの現状調査に加え、日本の移民研究の動向をまとめ、論文を執筆した。そこでは、日本の移民受け入れ研究の隆盛が、欧米における移民政策の鈍化の時代に対応していることから、日本において移民一般に関するネガティブなイメージが広がった可能性を指摘し、欧米の移民受け入れに関する人道的側面や、人権を守るために起こる社会運動などをアカデミズムは長期的な視野をもって伝える義務があると論じた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究組織のメンバー全員がそれぞれのテーマに取り組んでおり、現在のところ順調に推移している。概要で述べた内容について、それぞれが研究成果を著書、論文、口頭発表として公表しており、うち3人が2024年8月のダブリンにおけるIGC(国際地理学会議)に登録するなど、次年度に向けた準備も進んでいる。

今後の研究の推進方策

まず、8月末にダブリンで行われるIGC(国際地理学会議)において、中澤、三浦、佐藤がそれぞれのテーマの口頭発表を行う予定である。それぞれ国際的な議論を行うための位置づけが必要になるため、研究も必然的に一歩進めることになる。
今後の展開に向けては、新たな研究協力を得ることも考えている。日本においてトルコ系のモスクが増えていることから、とくに代々木上原との比較の観点をもって、愛知県津島市におけるモスクについて、オランダのトルコ系モスクについて調査してきた義澤幸恵さんに入ってもらい、調査を進めてもらう。具体的には、政府系か任意団体系かによって、日本での表れがどのように異なるのかを明らかにしてもらう予定である。
また、一般的な発信の観点から、大分で移民・外国人の支援活動をしている方を東京にお招きし、移民・外国人の受け入れに関する映像作品を学生や一般向けの講演会の形で公開するイベントを企画したいと考えている。より広い範囲での意見を集めることによって、本研究のまとめの仕方についても、学会にとどまらない仕方で考えていく予定である。
2023年度は大分において、研究メンバーの4人が合同調査をすることができたが、5人での研究が出来ていないため、2024年度は5人での合同研究会を開くことを考えている。2025年度の最終年度に向け、準備を進めていきたい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 非正規移民の人権保護をめぐる地理学的研究を考える―日本における研究とヨーロッパの現状の整理から2024

    • 著者名/発表者名
      荒又美陽
    • 雑誌名

      駿台史学

      巻: 181 ページ: 49-74

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 共和国の多様性を示すローカルなライシテ : 第四〇回渋沢・クローデル賞 奨励賞 『承認のライシテとムスリムの場所づくり : 「辺境の街」ストラスブールの実践』(人文書院、2023)2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤 香寿実
    • 雑誌名

      青淵

      巻: 896 ページ: 8-11

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 多元的社会における宗教的マイノリティの場所生成:ストラスブールにおけるライシテとムスリム2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤香寿実
    • 学会等名
      人文地理学会地理思想研究部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] イスラム教徒との共生に必要なこと2023

    • 著者名/発表者名
      内藤正典
    • 学会等名
      きらめき人権講座
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「これ」と「それ」の狭間にあること―ストラスブールにおけるライシテとイスラーム2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤香寿実
    • 学会等名
      渋沢・クローデル賞受賞記念講演
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] フランスにおける性的少数者のムスリムと「包摂的なモスク」2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤香寿実
    • 学会等名
      日本宗教学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 集合体理論から見る進歩的イスラーム運動の空間的戦略―フランスにおける取り組みを事例として―2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤香寿実
    • 学会等名
      人文地理学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 仮放免の障がい児の「生」とケアの技法2023

    • 著者名/発表者名
      三浦尚子
    • 学会等名
      人文地理学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ソーシャルワーカーからみた入管収容問題2023

    • 著者名/発表者名
      三浦尚子ほか
    • 学会等名
      第66回日本病院・地域精神医学会神奈川大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Geographic Spaces as an Island Nation for Refugees and Asylum Seekers: A Case Study of Kurds in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Miura Naoko
    • 学会等名
      IGU Thematic Conference Osaka 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] イスラームの定着と葛藤2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤香寿実(分担執筆)
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      9784326103393
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 日本の都市地理学研究2024

    • 著者名/発表者名
      中澤高志(分担執筆)
    • 総ページ数
      666
    • 出版者
      古今書院
    • ISBN
      9784772261302
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] トルコ 建国一〇〇年の自画像2023

    • 著者名/発表者名
      内藤正典
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784004319863
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 分断を乗り越えるためのイスラム入門2023

    • 著者名/発表者名
      内藤正典
    • 総ページ数
      248
    • 出版者
      幻冬舎
    • ISBN
      9784344987005
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 地図でみる世界の地域格差 OECD地域指標2022年版2023

    • 著者名/発表者名
      中澤高志(監修)
    • 総ページ数
      144
    • 出版者
      明石書店
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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