研究課題/領域番号 |
23K01025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
福西 大輔 別府大学, 文学部, 准教授 (40732821)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 八幡信仰 / 産育祈願 / 神功皇后 / 母神信仰 / 民間信仰 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は八幡信仰の研究の一環として、その祭神の一柱である神功皇后をめぐる信仰を研究対象とし、①八幡信仰と産育習俗との関りを整理し、②八幡信仰における神功皇后の位置づけを探り、あわせて③日本全国へ八幡信仰が広がった時における産育習俗が果たした役割について、フィールドワークを主とする民俗学的な見地から考察する。そして、庶民の信仰の対象としての八幡信仰の実態の一部を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、日本全域に広がる八幡信仰の中でも特に産育祈願と繋がりが深いとされる東北地域と瀬戸内海の入口としての和歌山県の調査を行った。まず、東北地域における産育祈願に関する八幡信仰の中心地である秋田県で調査を行った。その結果、従来は1か所だけだと思われていた安産祈願の対象としての八幡信仰の拠点がもう一つあることが分かった。1つが秋田県の北部・中部で信仰を集めている唐松神社を中心としたものであり、もう1つが秋田県南部に広がっている蚶満寺を中心としたものであった。神社をベースに広がったものと、地蔵信仰と結びつきながら寺を中心に広がったものであった。そして、共に神功皇后と皇后が乗ってきた船に関わる伝承が残されていた。 次に和歌山県内の八幡信仰と産育習俗の関りを調査した。神功皇后が応神天皇の胞衣を埋めたという伝承のある衣奈八幡宮を中心に行った。この神社の縁起には、福岡県にある筥崎八幡宮と関りのある話が残されていた。また、衣奈八幡宮のある地域に隣接する地域には宇佐八幡宮と名乗る神社があり、こちらは大分県の宇佐神宮との関りが伝えられている。衣奈八幡宮では安産祈願などが盛んにされていたという話があったが、現在は全く行われていなく、その実態は分からなくなっていた。そして、こちらにも神功皇后が乗ってきた船が停泊したとされる場所の伝承があった。 今回の調査では、いずれも少子化にともない、安産祈願の信仰は下火になっていた。そのため、実態の把握が難しくなりつつあった。しかしながら、両方とも神功皇后が信仰や伝承の中心となっていた。安産祈願において、八幡信仰の主神である応神天皇よりも神功皇后の方が重視されていることが改めて分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画に基づいて調査を行ってきたが、先方の都合や天候などによって思うように進まなかった。特に唐松神社に関する資料の提供が先方の都合により3月になって提供してもらったため、年度内に調査研究等をまとめることができなかった。そのため、発表や論文の執筆にまで至らなかった。 今年度の調査結果は次年度以降にまとめていき、論文や学会の発表という形にしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は秋田県の調査をまとめ、論文として発表する予定でいる。また、新たな調査先として、関西から瀬戸内海にかけての地域を検討している。神功皇后伝承の広がりを確認するとともにその背景にあるものを探っていく。特に東北の調査で見えてきた神功皇后と船との関りなどに着目していきたい。瀬戸内海で広島を中心に見られた家船とそれに関わる伝承が神功皇后伝承にどのような影響を与えてきたのか、今後は検討していく。
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