研究課題/領域番号 |
23K01026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
小池 淳一 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60241452)
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研究分担者 |
山田 嚴子 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (20344583)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 音声 / 語り手 / 聞き手 / 昔話 / 青森県 / 伝承者 / デジタル化 / 地域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は口頭伝承の調査データの保存と継承、活用のための分析作業を通して、伝承者の〈声〉をどのように保存するか、また、その特質を生かしつつ、社会にどのように還元するか、といった研究上の規準を構築することを目的とし、さらに地域文化の継承と発展のための社会的な活用の途を開くこともめざしたい。対象とするのは、戦後の青森県において、テープレコーダーなどを駆使した音声資料を中心に昔話の調査研究を進めた佐々木達司(1932~2020)が遺した資料で、その内容は音声、映像、写真など多岐にわたる。伝承資料の継承と活用の両立を地域文化資源の視点から模索するものでもある。
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研究実績の概要 |
デジタル化対象資料の現状及び数量把握を進め、メディアの種類と音声資料(カセットテープ、MD等)の状態を再確認した。特に既に翻刻され、資料として登録されているデータに関する整理を新たに行ない、語り手の家族および親族との連絡をとる準備を進めた。口承文芸研究における語り手の権利については学界水準での議論が乏しいため、生活史研究やライフヒストリーアプローチ等の近隣関連する領域の議論を参照し、代表者がこれまでにおこなってきた資料の再検討も行なっている。 昔話等の口承文芸の語りそのものとその背景もしくは関連する民俗世界の俗信や民俗知識との関係、語り手自身の家庭環境や人生観についての心情の吐露や評価につながる言辞をどのように扱うか、作業を進めるなかで新たな課題が浮上してきている。これらはこれまでの語り手および伝承者研究では等閑視されるか、過小評価されてきた領域であり、この点についての考察と位置づけが研究を進めていく上でも重要になるものと思量される。 加えて研究分担者と利活用の可能性についての諸課題を整理し、図書館、歴史民俗資料館等における情報発信や研究内容の普及啓蒙について討論を行なった。音声のみならず、映像資料についても併せて検討し、民俗学の地域民俗誌と接続するかたちでの資料の保存・継承を視野に入れている。それらに加えて、生涯学習施設における鑑賞(聴取)会や簡便な講習会等の開催の可能性を模索し、その効果についての検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者の本務多忙のため、音声資料のデジタル化の作業が遅れている。また、デジタル化対象資料の保存状況(巻き取り、録音プロテクト等)がさまざまであったため、その確認および適正化に当初の予定より時間を要した。 文字化され、昔話資料として公表されているデータについても再確認を行ない、語り手の権利を保護し、確認する作業についても、時間を要している。 研究代表と研究分担者との間で、研究内容の発表や啓蒙についての相互検討を進め、その発信についての方策を考究しており、多方面にわたる課題の進展に努力してはいるものの、具体的な成果には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
早急に遅れを取り戻すために、今年度前半には諸資料のデジタル化と資料提供者およびその家族への利活用にむけての許諾を得ることを並行して進める。 デジタル化に際してのアナログ資料の特性をふまえ、状態を改善し、分量についてもより詳細な確認を進める。文字化されている昔話資料については公表の形態や刊行時の事情を引き続き、精査し、青森県域におけるこの種の資料の利活用の課題についての提言を準備していく。
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