研究課題/領域番号 |
23K01055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
福田 真希 神戸大学, 法学研究科, 教授 (00711160)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | フランス / 死刑 / 20世紀 / 歴史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、聖書から1981年の廃止にかけてのフランスにおける死刑の歴史を、法制史・政治史・思想史・社会史・文化史の視点から、日本との比較を交えて研究する。その際、さまざまな一次資料を用い、各時代の刑事法レジームにおける死刑の位置づけ、死刑をとりまく政治的・思想的背景、さらには、各時代の社会における死刑の意義とその文化的背景も明らかにする。その際、死刑を推進する側と、廃止を目指す側の両方に注目し、廃止ありきの単線的なシナリオを描かないようにする。
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研究実績の概要 |
2023年度の主な成果は、当初2024年度に予定していた、パリ第1大学19世紀史研究所のニコラ・ピカール氏を招聘したことである。氏が20世紀フランス死刑史研究の第一人者であることには疑いを容れず、神戸大学で開催された2回の講演会(および、東京、山形での追加公演会)では、フランスでも比較的新しい研究対象である、死刑囚の収監状況や、1981年の死刑廃止後の状況をテーマに、フランス法制史以外の参加者たちとも活発な議論が行われた。さらに、2023年12月には、20世紀フランスの死刑囚の収監状況について扱った講演の日本語翻訳が、福田による解説を伴って『神戸法学雑誌』に発表されている。1981年以降のフランスについて扱った講演の翻訳の方も、2024年6月に、福田による補論を伴って同誌に発表される予定である。これらの解説や補論では、20世紀フランスの死刑の歴史を、法制史的な視点だけでなく、政治史や社会史、さらにはメディア史の視点からも分析することができた。 その他の成果としては、夏休みの時期にフランスにわたり、フランス革命期のギロチン研究でその名を知られ始めている若手研究者、ギヨーム・デバ氏と会談し、最新の研究成果を共有したほか、将来の共同研究の可能性に向けて、具体的な議論を行うことができたことや、11月に、18世紀の北フランスにおいて刑死体がどこに晒されていたのか、そこにいかなる意図があったのかをテーマとしたフランス語論文が発表されたことが挙げられよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、ピカール氏の招へいは2年目の2024年度であったが、当該招へいに関連して2024年度に行おうと予定していたことは完了している。また、招へいが早まったことによって、2025年度以降になると予想していた、ピカール氏の講演の翻訳および福田による解説や補論の発表を、2023年度内に開始することができた。先述のように、この解説および補論では、20世紀フランスにおける死刑について、法史的な視点だけでなく、政治史や社会史の視点も取り入れた考察を行ったが、この点に注目すれば、申請時の計画通りに研究が進展していると言えるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画のうち、2023年度中には、これまでの福田の研究においてほとんど扱ってこなかった、20世紀にかんする部分を重点的に研究することができた。2024年度以降は、これまでの研究を土台に、それ以前の時代についても、同様のアプローチで研究を進めていく。その際重要となるのが、現地での史料収集である。映像や新聞記事など、比較的入手しやすい20世紀の史料とは異なり、19世紀以前の史料は現地の文書館などで収集しなければならない。したがって、現地での作業が必要となるが、その際、現地の研究者との交流も進め、最新の研究状況も把握する。これらの活動を経て得られることになる成果は、積極的にフランス語で発表していくことを目指す。
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