研究課題/領域番号 |
23K01057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤坂 幸一 九州大学, 法学研究院, 教授 (90362011)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2027年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 議会 / 代表 / デジタル化 / 代表制 / デジタル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、①デジタル社会における議事空間の変容と、②そのようなデジタル議事空間における代表represenation理念の変化、および③デジタル社会における動態的知識形成という3つの視座から、流動化するデジタル社会において新たな秩序形成プロセスが機能する前提条件を剔抉し、変容を迫られつつあるわが国の統治プロセスに対して具体的な統治機構改革の提言を行おうとするものである。このような検討は、また、いわゆるソーシャル・メディア・プラットフォームが公衆の政治的表現の自由とどのように切り結んでいるかの検討を伴うことになるだろう。
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研究実績の概要 |
本年は、デジタル社会における議会・議会代表のあり方につき、トイプナーの提唱する「デジタル時代の法主体」という考え方、あるいはトーマス・ヴェスティングの提唱になる「Homo Digitalis」、すなわちデジタル人間という概念を手がかりに、各人がユニバーサルな秩序の個々の部分として位置づけられるのではなく、まさに個々人、かつ特有の存在(=singularという固有性を持った存在)として位置づけられる社会について、最新の理論動向を検討した。
そこでは、個人はもはや既存の制度の中の一部分、あるいは既存の社会秩序の一部分として位置づけられるのではなく、そしてまた、その部分秩序を以下にして議会に代表させていくのか、という議論ではなく、各人が「制度」から離れた場所、あるいは制度外在的にどのように自分たちの意見を社会に反映するのか、という視点が重要になっている。とりわけ、さまざまな電子媒体が効果的に機能し、自身と同じようなシュヴァルム(群れ)がどこにあるのかを容易に探すことができ、また、その離合集散が比較的柔軟にリキッドな形でなされていく社会が構想されている。
もっとも、現在のところ、そのような変化は移行期(テイラーの言う「リミナリティ」)にあり、従来のような議会中心の意思形成システムを中核に据える立場からすれば、容易に理解されない面があることも事実であるが、少なくとも、このような理論的討究及び社会学的な実態解明を踏まえた議会制論の最構成が必要であることを明確にすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この数年の間に、コロナ禍を契機とする公法理論の全面的な再検討が、国内外で急速に進展している。それは枚挙のいとまがない程の大規模に達しているが、とりわけ、2020年9月の法律家新聞Juristen-Zeitungに掲載されたWhy Constitution Matters; Verfassungsrechtswissenschaft in Zeiten der Corona-Kriseは、メラース教授ほか、著名な公法学者が結集しつつ、基本権制限のあり方から統治構造の改革まで、柔軟な理論的再検討を行うもので、大変大きな影響を与えた。 本研究では、このような内外の研究の進展を着実にフォローしたうえで、デジタル社会の議会制や議会における専門知の反映のあり方に向けた憲法学上の検討枠組の提示を行う予定であるが、そのような観点から、オンライン国会の問題を議会代表との関係で再考する論考を公表することができた(「憲法問題としてのオンライン国会」)。2024年度には座談会記録を含めて書籍化される予定である。 議会制度については、ITC技術を活用したオンライン化が進展し、その実務動向を検討する研究関心が多くみられたが、申請者が着目したのは、そのような状況であるからこそ逆に照射された、伝統的な議事空間が織りなす「象徴的な意味の世界」を描き出す研究動向である。とりわけ、シェーンベルガー教授によるAuf der Bank: Die Inszenierung der Regierung im Staatstheater des Parlaments, C.H.Beck, 2022で、議会という「国家劇場」における政府座席の位置の変遷が、いかなる憲政史的含意を持つかを検討する労作で、演劇性に着目する上記論考にも、多大な影響を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
上に見たような研究動向は、また、リア・マリー・ヴァイシェード教授によるParlamentskunst, Mohe Siebeck, 2022のような、民主制を美学的aesthethischnな観点から位置付け直す国家美学の領域における先鋭的な研究とも相応するもので、建築と法、演劇と法、法形成システムや国家制度の演劇性・パフォーマンス性に焦点を当てる近年の学際的動向とも連動している。2024年度においては、このような内外の研究者との積極的な意見交換を行うとともに、伝統的な議事空間の意義を議場構造や議事手続との連関を踏まえて捉え直すことを試みる。そのことはまた、議会・議事手続のみならず、裁判所や裁判手続の問題にも波及するはずであるが、可能であればこのような問題領域の拡充に向けた予備的考察も、2024年度の間に行いたい。
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