ソ連解体後の現代ロシアの権威主義体制化を、憲法変動論の視点から時系列的に明らかにする。すなわちロシアが、ソ連解体後の議会と大統領との二重権力化にみられる憲法危機、古い憲法の除去と新憲法の制定、新憲法体制下での連邦議会下院と大統領との間の新たな攻防、2000年代のプーチン体制下における国家集権化と市民社会統制の強化、議会の協賛による度重なる憲法改正(とりわけ2020年のコロナ禍の下での改憲)を経てきたことから。現代ロシアの権威主義体制化が、単に大統領個人の独裁化というよりも、1990年代からの憲法変動によって重層的に形成されてきたことを解明する。
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