本研究においては、フランスにおけるセクト規制法制の現状と課題を分析することを通じて、現代の法治国家における宗教団体規制のあり方を検討したい。フランスにおいては、2001年に団体解散を含むセクト規制法が制定され、専門機関が「セクト的団体」に対する監視活動を行ってきた。しかし、制定から20年を経た今も、セクト規制法の適用事例は少なく、抑制的な運用が行われてきたように見える。本研究においては、フランスのセクト規制法制の当初の意図と、その後の規制方針の転換、そして現在の運用の実態を分析することを通じて、法治国家におけるセクト(カルト)規制の基本原則と課題を検討してみたい。
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